これまでNOD Like Receptorsに直接結合して活性に影響する因子として、2種のがん抑制因子および2種の活性酸素制御因子を同定している。これらの因子について、NOD Like Receptorsとの結合性を変化させて活性を変化させるために、変異体を作製し、活性制御を行った。 若年性サルコイドーシスのように、自然免疫系がリガンドがない状態でも常時活性化することによって全身性の肉芽腫を発症し、自己炎症性疾患として分類されている疾患に対する新規治療法の基盤形成として、活性制御を行う系としてドミナントネガティブ体について、複数個を作製した。それぞれ異なるシグナル経路の段階での発現抑制の強度を示した。 またサルコイドーシスの原因菌の同定と、発症機構について、十分なインフォームドコンセントの元に臨床検体を用いた解析を行った。サルコイドーシスの病原菌として本邦ではPropionibacteriumacnes(アクネ菌)が、欧米では(結核菌) が想定されている。今回、サルコイドーシス患者と健常人について、それぞれの菌に対する免疫応答を比較するために、末梢血でのTh1とTH17サイトカインの活性をELISPOTで、遺伝子発現量をRT-PCRで測定した。 その結果、アクネ菌に応答したIL-2の産生はサルコイドーシス患者で高く、またIL-2とIL-12のmRNAの発現はサルコイドーシス患者で高かった。しかしIL-17のmRNAの発現はサルコイドーシス患者の方が低かった。結核菌に対する応答性はサルコイドーシス患者と健常人で差がなかった。この結果、サルコイドーシスの病因となる病原体はアクネ菌であり、発症機構として、アクネ菌に対する免疫応答不全によるTh-1とTh-17のバランス異常を想定した。
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