主に血液疾患などの免疫抑制患者に発症する深在性真菌症である接合菌症の早期診断に有用と考えられる血清診断法の開発研究を試みた。我々は、前年度に真菌研究における新しいアプローチであるシグナルシークエンストラップ法を利用し、接合菌(Rhizopus oryzae)の膜蛋白質および分泌蛋白質を網羅的に同定して、二つの抗原蛋白を候補に選出し、本年度はその蛋白精製を行った。 シグナルシークエンストラップを用いて膜蛋白および分泌蛋白遺伝子の検出を試み、302の候補蛋白のシークエンスおよびR.oryzaeのデータベース(http://www.broadinstitute.org/annotation/genome/rhizopus__oryzae/MultiHome.html)より遺伝子の同定を行った。 その中から、最も多い163のクローンを占めた蛋白(候補A:hypothetical protein、226アミノ酸から構成される約23kDaの蛋白)および2番目に多い45のクローンが得られた蛋白(候補B:predicted protein、486アミノ酸から構成される約46kDaの蛋白)を蛋白抗原の候補として選出した。 二つの候補蛋白はシグナルシークエンス配列を有し、後者はそのシークエンスの特徴から細胞壁のβグルカン合成酵素に関連するタンパク質である可能性が示唆された。今後、蛋白の精製~抗体の精製を計画している。.
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