研究概要 |
樹状細胞由来の分泌型膜小胞であるエキソソーム(exosome:EX)を安全で有効なC型肝炎ウイルス(HCV)慢性感染症の免疫治療用新規賦活剤としての可能性を検討している。HCVタンパク断片を発現する組換えアデノウイルス(Rec Ad-NS3-5A:RecAd)とLPS,IL-12,IL-6+TGFβ,CD40L,CpG,ATP,あるいはPhorbor ester+Ionmycinなど樹状細胞刺激因子を併用して樹状細胞を刺激後、遊離するEXをHLA-A2発現トランスジェニックマウス(HHDマウス)に投与し、EXに反応する脾リンパ球数をNile Red染色法を用いて計測した。RecAdとLPS,IL-12,CpGとの併用刺激でEX反応細胞数の明らかな増加をみた。In vitroでの脾リンパ球においても同様の傾向をみた。RecAdと樹状細胞刺激剤の有用な組合せについては前年度報告した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導活性能とほぼ一致した結果でもあった。リンパ球活性化マーカーのCD44、あるいは逆に細胞活性化で消失するCD60Lの陽性細胞数においてもEX刺激の影響は同様の結果を得た。EXの細胞内への刺激伝達に関与するレセプターは既にLFA-1が知られているが、さらに樹状細胞上の受容体の一つであるTLR-2について抗体によるレセプター阻害実験(樹状細胞サイトカイン分泌量の測定)よりEXの刺激伝達能について検討した結果、EXはLFA-1に加えてTLR-2も受容体として機能している可能性が示唆された。現在、細胞表面刺激後の細胞内刺激伝達系の流れについてもDuolinkを用いて検討している。EXの構成タンパクの検討は各種標識抗体を用いてdot blott法により定量した。EXの基本的構成成文のCD63,CD81,リンパ球刺激因子のCD44、抗原提示に関与するI-Ab,H-2k並びにNK細胞刺激因子のRAE-1δ、MICA/B量を定量した。興味あることに樹状細胞刺激後の日齢で刺激因子の産生量は異なり、刺激後2-3日で比較的高い活性をもつEXが得られた。
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