研究課題
平成22年、ついに日本でも多剤耐性アシネトバクター属菌(MDRA)による院内感染が発生し大きな問題となった。しかし、MDRAのカルバペネム耐性に関与するOXA-23、OXA-40、OXA-51およびOXA-58といった、クラスDに属するカルバペネム分解型βラクタマーゼ(CHDL)の検出法は未だ確立されていない。本研究の目的の一つはこのCHDLの検出法を確立することにある。この方法として申請者らが注目したのは、イムノクロマト法による検出方法である。当初、ポリクローナル抗体を用いた検出法の構築を試みたが、感度・特異度に問題があることが判明した。その問題を解決するために、急遽モノクローナル抗体を用いた検出法の構築を実施することにした。平成22年度、OXA-51以外の酵素に対する検出法の構築が終了した。平成23年に検出システムの評価を実施するため、CHDL産生MDRAの検出頻度が高く、異なるタイプのCHDL産生株が分離されるシンガポール、韓国、イタリアおよびフランスの研究者に連絡を取り、具体的な評価計画を立案した。海外に評価を依頼するのは本邦におけるCHDL産生MDRAの検出頻度が未だ低いからである。もう一つの目的である各種CHSLの酵素学的パラメータの取得のうちOXA-23については平成22年度に終了した。しかし、この酵素の結晶化については難航している。平成23年度のX-線結晶解析はOXA-23の結晶化に重点を置いて研究を推進する予定である。OXA-40に関しては結晶が得られており、大まかな構造解析は終了しているが、詳細な結晶解析には至っていない。平成23年度はさらに良好な結晶を得るための条件検討を行い、野生型酵素の解析を終了する。また、平成22年度にOXA-40の詳細な酵素学的パラメータを測定する条件検討が終了し、いくつかのパラメータの取得が終了した。
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