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2011 年度 実績報告書

菌血症由来臨床分離細菌株を用いた好中球機能傷害機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22591116
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

阿戸 学  国立感染症研究所, 免疫部, 室長 (20392318)

キーワード遺伝子 / 感染症 / 細菌 / 免疫学 / 好中球
研究概要

全身性細菌感染症の重症臨床例より分離された細菌の病原性に関する解析は、補体抵抗性などについて主として行われているが、急性細菌感染で主要な防御細胞である好中球機能をどのように回避するかに関しては不明な点が多い。先行研究において、劇症型レンサ球菌感染症分離株において高発現している分泌性の孔形成毒素であるストレプトリシンO(SLO)が、好中球ネクローシスを誘導して、生体防御を傷害することを明らかにしている。今年度は、マウスにSLO高発現重症感染症由来分離株を感染させた際に、末梢血および骨髄中の好中球系細胞が著しく減少することを見いだし、in vitroでの知見がin vivo感染モデルにおいても実証された。さらに、宿主側の防御因子として、白血球減少を伴う劇症型感染マウスモデルの急性期において、顆粒球-単球コロニー刺激因子(GM-CSF)依存的に骨髄より血液中に放出され、感染部位に蓄積するリング状の核を持つ新規未熟骨髄系細胞群を同定した。この細胞群の特徴として、1)通常はTリンパ球やNK細胞から産生され、食細胞を活性化するサイトカインであるインターフェロンγ(IFN_Y)を産生するとともに、2)殺菌能をもつ一酸化窒素を産生するが、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)のような3)獲得免疫抑制作用は認められない。この細胞群移入が重症レンサ球菌感染を劇的に改善することから、重症細菌感染症における白血球減少を補完する宿主防御因子であることが考えられた。同様な孔形成毒素を持つ重症感染症由来ブドウ球菌や腸管外病原性大腸菌に関して、同様に当該細胞誘導が認められるか否か、現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

重症細菌感染症起因菌の好中球傷害をin vitro実験に加えて、in vivoマウスモデルでも証明でき、また、それを相補する宿主防御機構を見いだすことができた。一方、グラム陰性菌に関して、同様な好中球傷害機序は認められないが、好中球殺菌能から新規エスケープ機構の探索を継続している。

今後の研究の推進方策

本研究で得られた知見の論文発表につとめるとともに、未知の因子による好中球機能の抑制が確認された菌株に関しては、抑制を起こさない菌との、好中球との共培養系における遺伝子発現を比較することにより、候補遺伝子を同定する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Interferon-γ-producing immature myeloid cells confer protection against severe invasive group A Streptococcus infections2012

    • 著者名/発表者名
      Matsumura T, Ato M, Ikebe T, Ohnishi M, Watanabe H, Kobayashi K
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 3

    • DOI

      10.1038/ncomms1677

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular detection of Anaplasma phagocytophilum in cattle and Ixodes persulcatus ticks2011

    • 著者名/発表者名
      Murase Y, Konnai S, Hidano A, Githaka NW, Ito T, Takano A, Kawabata H, Ato M, Tajima T, Tajima M, Onuma M, Murata S, Ohashi K
    • 雑誌名

      Veterinary Microbiology

      巻: 149 ページ: 504-507

    • DOI

      10.1016/j.vetmic.2010.11.025

    • 査読あり
  • [学会発表] IFN-γ-producing immature myeloid cells confer protection against severe invasive group A Streptococcus infections in mice2011

    • 著者名/発表者名
      Matsumura T, Kobayashi K, Ato M
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011-11-29
  • [学会発表] Regulatory genes of multiple virulence factors involved in severe invasive group A streptococcus infection2011

    • 著者名/発表者名
      Ato M
    • 学会等名
      Singapore-Japan Joint Forum in Emerging Concepts in Microbiology
    • 発表場所
      国立シンガポール大学(シンガポール)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-15
  • [学会発表] Contact with group A Streptococcus isolated from severe invasive infections induces rapid necrosis of human neutrophils2011

    • 著者名/発表者名
      Ato M, Ikebe T, Matsumura T, Ohnishi M, Watanabe H, Kobayashi K
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Societies Congresses 2011
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      2011-09-08
  • [図書] 免疫の事典2011

    • 著者名/発表者名
      桂義元、河本宏、小安重夫、山本一彦編集
    • 総ページ数
      473
    • 出版者
      朝倉書店
  • [備考]

    • URL

      http://www.nih.go.jp/niid/ja/basic-science/iummunology/1717-imm-2012-001.html

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公開日: 2013-06-26  

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