平成24年度は、これまでに全国から検体を収集した先天性髄鞘化障害27例の解析、特にアレイCGHを行った。シークエンス法をとMLPA法を用いた簡便で安価なスクリーニング法でPLP1、GJA12、MBPの3つの遺伝子を解析し、異常が見られなかった症例に対してさらにCGHアレイ法による網羅的な解析を行った。その結果通常の染色体検査で18番染色体1本の長腕末端に欠失が疑われたが、MLPA法で確認したところMBP遺伝子のコピー数異常を認めない症例を1例認めた。この症例の欠失部位を確定するためにCGHアレイ法による解析を行ったところ、MBP遺伝子は欠失しておらず、そのさらにテロメア側に切断点があり欠失していることが確認され、候補遺伝子の存在が疑われた。27例の中で18q-症候群3例中2例はMBP欠失あり、1例は欠失を認めていないが頭部MRI上は異常所見に差がなく、MBPが18q-症候群の責任遺伝子ではないことが示唆されたが、PLP1異常が判明した3例を除いた全24症例に対してCGHアレイ行った結果、他の症例で18番染色体長腕の欠損症例を認めなかった。他に、全前脳胞症の原因遺伝子であるSHHの欠失を男性1例に認め、さらにSNPアレイを用いた解析でAngelman症候群の原因遺伝子が存在する15番染色体全体がloss of heterozygosityとなっている女児例を認め、他の症例も同様のSNPアレイ解析を進めたが、同様のloss of heterozygosityは認められなかった。
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