研究概要 |
本年度はCEL nuclease mediated heteroduplex incision with polyacrylamide gel electrophoresis and silver staining (CHIPS)法による遺伝子診断系をさらに拡充した。比較的頻度が高く遺伝子検査が有用であると思われる疾患を抽出し,PCRプライマー設計・合成,CHIPS条件設定,実際の臨床症例の遺伝子解析を随時行った。特に、スティックラー症候群(責任遺伝子COL2A1,54エクソン)や血管型エーラス・ダンロス症候群(責任遺伝子COL3A1,51エクソン)といった責任遺伝子が巨大であるコラーゲン分子異常症に関してもCHIPS法による迅速遺伝子診断が可能であったことは、本法の有用性と簡便性を証明している。CHIPS法による診断系が確立された単一遺伝子病は、本年度中に50疾患,70遺伝子を越えた。これは一施設で可能な遺伝子検査としては国内最多レベルであると自負する。 本年度は,CHIPS法の普及のため、2011年7月16-17日、および2011年9月17-18日の2回、手技に関するワークショップを開催した。各会5名程度の参加があり、CHIPS法による遺伝子検査の実際を体験してもらい好評を博した。また、備考に記したWebサイトを立ち上げ、拡大しているCHIPS法による遺伝子解析データーをインターネット上に公開した。このサイトは現在も更新中である。さらに、CHIPS法による遺伝子検査の認知・普及のため、結節性硬化症をテストとして他施設からの検体受付を開始した。 Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA)法の改良に関しては、Taq Ligaseを用いたサイクルによる定量的な鋳型DNA(1本鎖)の産生と、その後の拮抗PCRによる定量増幅が可能であることが示された。本法はプライマーの設計のみでMLPA法が行える利点があり、従来法に比べ遥かに簡便である。
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