研究概要 |
先天性疾患をはじめとし遺伝子診断は既に一般的な診断検査の一つとして臨床応用されている。しかし、検査にかかる原価が高く、効率的な変異スクリーニングには特殊な機器を必要とするため、本邦においては現実には普及していない。上記のような現状を打破するために、代表研究者らは簡便、安価、かつ高精度の遺伝子変異スクリーニングシステムとして2008年にCHIPS (CEL nucleasemediated heteroduplex incision with polyacrylamide gel electrophoresis and silver staining)法を開発した(Tsuji T, Niida Y. Electrophoresis. 2008 Apr;29(7):1473-83.)。本研究では遺伝子検査の一般普及のために頻度の高い遺伝性疾患に関し、CHIPS法を至適化した。H24年度は最終年度にあたるが、3年間の研究期間にて60疾患(73遺伝子)の遺伝子診断がCHIPS法にて可能となった。その成果は、2本の論文にまとめられた。CHIPS法の基本原理、メソッドの詳細および遺伝子診断に対する高い有用性は、Mol Genet Metab. 2012 Nov;107(3):580-5.に発表された。また、CHIPS法により、本邦初となる大規模な日本人結節性硬化症患者の遺伝子変異コホート研究がなされ、J Hum Genet. 2013 Feb 7. [Epub ahead of print]に公表された。H25年2月10-11日にCHIPS法の実際を学ぶワークショップを開催し、6名の研究者の参加があった。また、解析に用いた各遺伝子のプライマー配列およびCHIPS法のプロトコールはホームページ上に(http://chips.is-mine.net/)公開された。
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