研究課題/領域番号 |
22591124
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
金村 英秋 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40359724)
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研究分担者 |
相原 正男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30242639)
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キーワード | てんかん / 前頭葉 / 前頭前野 / 高次脳機能 / QOL |
研究概要 |
1.無熱性けいれん初発児の自然予後、てんかん移行への危険因子を明らかにするために、無熱性けいれん初発児の経過を追った。てんかん移行率は18ヵ月時点で55%前後であった。またてんかん移行の危険因子として、(1)部分発作、(2)脳波上の焦点性突発波の存在、が挙げられた。 2.次に、てんかん患児における認知障害・行動異常に関与すると想定されている前頭前野の発達を解剖学的視点より検討した。行った検討として、(1)三次元MRIを撮像し、コンピュータ解析処理ソフト、を用いて脳表面の3-D画像を作成。(2)解剖学的に正確な部位同定を行い、前頭葉および前頭前野の体積を定量的に測定し、その成長過程を客観的に検討した。健常児においては、前頭葉に占める前頭前野体積の比率は思春期前後(7~15歳)で急速に増大し、以降は成人値とほぼ同様になるとの結果をもとに、てんかん児での経緯を検討した。前頭前野体積はてんかん児の発作頻度や脳波所見により、相違を認めた。予後良好とされる良性小児てんかんにおいても、発作頻度・脳波所見の増悪が長期間持続すると、前頭前野の成長に影響を及ぼす可能性が示された。また、前頭葉てんかんでは発作頻度によって前頭前野の成長に相違を認めたことから、てんかん発作そのものが脳に形態的影響をもたらす可能性が示された。 3.さらに、高次脳機能と前頭前野体積との関連を様々なてんかん症候群児において検討した。てんかん児では多動、不注意、衝動性などの前頭葉機能障害を示唆する症状を認めることがあり、てんかん児でのQOL低下を示す要因として前頭葉機能障害が挙げられた。前頭葉機能障害を呈した児では、発作持続期間・異常脳波持続期間と前頭前野の成長障害とで関連性を認め、このことは様々なてんかん症候群において認められた。このことより、てんかん児のQOL向上に発作の早期抑制、脳波の早期改善が重要であるという知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無熱性けいれん児におけるてんかん発症のリスクについて、より長期的に検討を加え、短期的な検討結果と同様であった。また、てんかん児のQOLに関与する前頭葉・前頭前野の成長についても、様々なてんかん症候群児で同様の結果を得ることができた。さらに、発作頻度・活動期間により前頭前野の成長への影響に相違を認めたことから、治療戦略として早期の発作抑制がその後の認知・行動面を含めた社会的予後につながることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
てんかん発症の危険因子に関しては、無熱性けいれん児だけでなく単純型熱性けいれん児においても検討を加えていくことで、てんかん発症の危険因子についてより広く検討を加えていく。 良性小児てんかんにおいても難治化する症例が存在し、それらが前頭前野の成長障害と関連することでQOLの低下を来たしている。てんかん児の難治化に関して、その危険因子を脳波学的検討も加えて明らかにすることで、難治化に対する迅速な対応を可能にしていく。
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