研究課題/領域番号 |
22591126
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
下野 九理子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (60403185)
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キーワード | 脱髄 / epigenetics / オリゴデンドロサイト / myelination / 神経変性疾患 / 免疫染色 / クラッベ病 / 神経炎症 |
研究概要 |
オリゴデンドログリア(OLD)は中枢神経系において髄鞘形成を担う細胞であり、その変性・消失により脱髄が引き起こされる。 Shen等はCuのキレート剤であるCuprizon投与による脱髄疾患モデルマウスにおいて再髄鞘化におけるエピジェネティック機構を報告している。しかしながら、cuprizonモデルは人工的なモデルであり、実際の脱髄の病理とは病態がかけ離れている。我々はヒトクラッベ病のモデルマウスであるtwitcherマウスを用い、脱髄/再髄鞘化においてもエピジェネティックな機構が関与しているのかを調べた。 本年度はtwitcherにおけるOLDの動態について調べた。結果、脱髄が始まる日齢30以降、pi-GST陽性成熟OLDの数は正常コントロールに比べ減少していたが、NG2陽性細胞など、OLD前駆細胞と考えられる細胞の変化は有意でなかった。このことから、twitcherにおいて脱髄進行後も再髄鞘化の予備能は保たれていると予想された。さらに、OLDの髄鞘化にエピゲネティック機構が関与するのかについて、調べた。日齢5、10、15、20、30、40のtwitcherマウス脳およびコントロール脳において、epigeneticsを調節するDNMT1よびDMNT3aの発現を免疫染色を用いて調べた。免疫染色の結果、正常コントロールにおいて、DNMT1および3aはオリゴデンドロサイトおよびニューロンの一部に発現し、その発現量は幼弱期ほど強い傾向がみられた。また、twitcher脳においては日齢40以降、正常に比し特にDNMT3aが強い傾向が示され、脱髄後の再髄化にはDMNT3aがDNMT1より大きく関与していることが示唆された。再髄鞘化においてepigeneticな機構の関与が裏打ちされたので、今後、さらにヒストン蛋白のメチル化などを解析していく。
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