研究課題/領域番号 |
22591126
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
下野 九理子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (60403185)
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キーワード | エピジェネティックス / 髄鞘化 / 神経発達 / グリア / 神経変性疾患 |
研究概要 |
オリゴデンドログリア(OLD)は中枢神経系において髄鞘形成を担う細胞であり、その変性・消失により脱髄が引き起こされる。近年、認知機能障害と白質形成が関係するとの報告(Beckman,2004)、多動を示すマウスにおいて白質が増加しているとの報告など、白質に注目が集まっている。白質を構成する主な細胞はまさに軸索とOLDである。髄鞘とその形成細胞であるOLDは、従来の跳躍伝導の担い手としての機能を超えて、神経活動や認知機能に大きな役割を果たしていると考えられる。とりわけ小児領域で注目を集めているのが、発達障害患者脳の白質の体積が増加していることである(Herbert et al.,2004)。本研究では、先天性脱髄疾患モデルマウスtwitcherを用いて、OLDの分化・脱分化とそのメカニズムを調べ、エピジェネシスが関与しているかを検討した。昨年度に引き続き本年度はヒストンを脱アセチル化し遺伝子発現を促進されるHDACのオリゴデンドロサイトにおける発現、および脱髄疾患モデルマウスtwitcher脳における再髄鞘化における発現をみるため、各日齢における発現変化を調べた。HDACの免疫染色を行った結果、日齢20,30,40のtwitcherとコントロールの比較では両者に明らかな発現の違いは認められなかった。また、髄鞘化が非常に遅れるGMlgangliosidosisモデルマウスにおいてHDACの発現をみたが、これも明らかなコントロールとの差は認めなかった。Shen等は鉄キレート剤による脱髄からの再髄鞘化にはHDACが関与していることを報告しているが、我々の用いた代謝疾患モデルでは再髄鞘化においてHDAC以外のメカニズムが関わっている事が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫染色の条件決定が達成され、DMNT1,3およびHDACの免疫染色をおこない、DMNT1,3染色陽性細胞がオリゴデンドロサイトであることの確認および、髄鞘化、脱髄、各ステージにおる出現の仕方を陽性細胞数の数により評価できた。反対にHDACの発現は確認できず、HDAC以外の再髄鞘化メカニズムが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後、我々が同定したユニークな神経保護因子でありオリゴデンドロサイトに特異的に発現するL-PGDSが、エピジェネシス関連のDMNTもしくはHDACの発現と関連するかを検討していく予定である。
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