研究課題/領域番号 |
22591133
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
舘 延忠 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (80136944)
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研究分担者 |
山下 利春 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50167706)
菊池 真 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20404585)
大屋 一博 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60438067)
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キーワード | 脊髄性筋委縮症 / SMN2mRNA / SMN蛋白 / 培養皮膚線維芽細胞 / VPA / 塩酸アマンタジン |
研究概要 |
対象と方法:脊髄性筋委縮症(SMA)IとII型の患者さんからインフォームドコンセントを得て、皮膚生検を行い、培養皮膚線維芽細胞を確立した。培養皮膚線維芽細胞に治療量のバルプロ酸Na(VPA),塩酸アマンタジンを加え1から3日間培養し、これらの薬剤を加えない培養細胞(コントロール)とからtotal RNAを抽出した。total RNAからRT-PCR法にてcDNAを作製した。SMN2 cDNA量(mRNA)をTaqmanプローブを用いたReal-time PCR法を用いて解析した。また、これらの培養細胞からSMN蛋白を定量化するのに抗SMN抗体を用いてWestern blotにて解析した。標準蛋白としてのβ-tubulinは抗β-tubulin抗体で解析した。結果:コントロール培養細胞のSMN2 transcript (mRNA)を1とすると、VPAを加えて1日培養したSMN2 transcriptは2,7と約3倍に増加していた。塩酸アマンタジンを加えて1日培養したSMN2 transcriptは1,2と増加していなかった。VPAに塩酸アマンタジンを加えた培養細胞のSMN2 transcriptはVPA単独と変わらなかった。SMN蛋白解析では、正常ヒト線維芽細胞のSMN蛋白に比べ、SMA患者培養細胞は著名に減少していた。β-tubulinは、正常ヒトとSMA患者では同程度に発現していた。VPAを加えたSMA患者培養細胞のSMN蛋白は、VPA未添加SMA培養細胞に比べ著名に増加していた。塩酸アマンタジンを加えたSMA培養細胞のSMN蛋白は、添加SMA培養細胞と変わらなかった。β-tubulinは、全ての条件で同じ発現をしていた。SMNmRNAとSMN蛋白解析は同様の傾向を示し、VPA添加はSMNmRNAおよびSMN蛋白の増加を確認したが、塩酸アマンタジンでは増加を示さなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚線維芽細胞の培養が順調に進んでいるために、mRNAおよび蛋白解析もおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、対象にしているのは2名のSMA患者さんで1名はSMN1遺伝子のホモ欠失(SMAの95%)で、他の1名はSMN遺伝子のヘテロ欠失を持つ。この両者でのSMN mRNAとSMN蛋白の違いを解析中である。最近、SMN1遺伝子のホモ欠失、およびヘテロ欠失も認めない臨床所見よりSMA II型の患者さんから皮膚線維芽細胞を培養している。今年はこのSMAに特徴的なSMNmRNAおよびSMN蛋白な所見の有無を解析予定である。
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