研究概要 |
出生コホート調査により、初年(平成22年)度は,幼児期に始まるBMIの増加であるadiposity rebound(AR)の時期が早い程、将来、肥満、脂質異常,血圧高値を伴いやすいことを報告した。ARは体組成のリモデリングを反映し、早期のARはインスリン抵抗性形成と関連していると考えられる。今年(平成23)度は、さらに解析を進めて、出生体重・初期栄養法・家族・食事・運動などの因子が、1.5歳から3歳にかけてのBMIの増減(ARが早い・ARが遅い)に関係しているかを。3歳健診時に調査(433名)した。その結果、生後5か月まで100%母乳、100%人工栄養、それ以外(混合)とARとの間には関連を認めず、また、初期栄養法は2歳時の肥満の頻度に影響しなかった。生活習慣に関しては、第1子である、通園している、朝食を必ず食べる、菓子をあまり食べない、父親が肥満でない、などはARが遅いことに影響していた。一方、ジュースや清涼飲料水の摂取量および外遊びの時間などは、予想に反して早期ARには影響していなかった。さらに、12歳の肥満を予測するのが生後4、8、12、18か月および2、3、4、5、6歳のいずれのBMIであるかをROC解析した結果、乳児期BMIではなく2歳以降のBMIであることが判明した。乳児期の体重増加度とARの時期との相関および出生体重とARの相関については、最終年度に向けて解析を開始している。
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