研究概要 |
出生コホート調査により、初年(平成22年)度は、adiposity rebound (AR)の時期が早い程、将来、肥満、脂質異常,血圧高値を伴いやすいことを報告し、2年次(平成23年)度は、出生体重・初期栄養法・家族・食事・運動などの因子が、1.5歳から3歳にかけてのBMIの増減に関係するが、初期栄養法の違いは2歳時の肥満の頻度に影響しないが、母乳栄養児には学童期の高度肥満が発生しないことが明らかとなった。 3年次(平成24年)度は、乳児期の体重増加度とARの時期との相関、および出生体重とARの相関について解析した。その結果、乳児期を出生~4か月、4~8か月、8~12か月の3 期に区分し、各区分での体重増加度(Δg)とARの年齢との相関を検討したところ、各区分ともARとは相関のないことが判明した。すなわち、乳児期のいずれの時期の体重増加もARを早めることにはつながらず、乳児期の体重増加とARが早まることは、異なる機序によるものであると考えられた。乳児肥満が将来の肥満につながりにくいことの、科学的根拠を示すものと考えられた。 出生体重とARの時期との関係では、出生体重を2,500g未満、2,500~4,000g、4.000g以上の3群に分けて各群のARの年齢を算出した結果、4,000g以上の過体重で出生した群でのAR年齢は3歳台であり早期であったが、その他の2群には差が認められず、低出生体重児のARが早くなるという当初予想していた結果は得られなかった。対象数を増やして検討する必要があると考えられた。 研究計画にあるように、研究成果を国際学会で発表することができた。
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