研究概要 |
目的:日本人1型糖尿病におけるHLA-DRB1, DQB1の関連は白人とは異なっている。DPB1およびクラスI遺伝子についてはまだ十分に検討されていない。今回,小児1型糖尿病について初めて全国多施設共同研究を行った。 対象と方法:GAD抗体かつ/またはIA-2抗体陽性(Type 1A)の患者430人,抗体陰性(Type 1B)67人,Type 1Aの同胞83人,149組の両親-患児トリオを対象とした。末梢血単核球よりDNAを抽出しWAKFlow HLA typing kitを用いてタイピングした。 結果と考察:Type 1AではDRB1, DQB1アリルおよびハプロタイプについて従来の報告と同様であった。DPB1は^*02:01と^*03:01が疾患感受性であり,^*09:01と^*04:02が疾患抵抗性という新知見を得た。両親-患児トリオのTDTでType 1Aではcase-control studyとほぼ同様の結果であったが,DPB1では^*09:01低頻度のみが有意であった。クラスIの疾患感受性,および抵抗性アリルが同定された。母親と父親のどちらから患児に伝達したかについてはいずれのアリルとも有意差なく,genomic imprintingのないことが示唆された。Type 1BでA^*33:03-C^*14:03-B^*44:03-DRB1^*13:02-DQB1^*06:04-DPB1^*04:01ハプロタイプが高頻度にあり,この群ではType 1Aとは異なる免疫学的発症機序が示唆された。Type 1Aとその両親,同胞との比較からDRB1-DQB1疾患感受性ハプロタイプの量と抵抗性アリルの有無が発症に関与することが示唆された。これらの結果は,今後HLA以外の免疫関連遺伝子やインスリン抵抗性関連遺伝子のSNP解析を行う上で重要な基礎データとなる。
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