研究概要 |
GAD抗体あるいはIA-2抗体陽性の1A型糖尿病患者430人,149組の両親-患児トリオを対象とした。昨年度はHLAクラスII遺伝子について検討を行った。今年度はさらにクラス遺伝子,連鎖不平衡(linkage disequilibrium:LD),発症年齢との関連,HLA以外の関連遺伝子SNPについて解析を行った。 クラスIについては,C^*01:02,C^*08:01,B^*54:01が疾患感受性,A^*33:03,C^*12:02,C^*14:03,B^*15:01,B^*52:01が疾患抵抗性であった。各アレルが母親と父親のどちらから患児に伝搬したかについてはいずれのアレルとも有意な差がなく,HLA遺伝子についてはgenomic imprintingのないことが示唆された。DPB1^*02:01と^*03:01はDRB1-DQB1の疾患感受性ハプロタイプと特に関連がなかった。高いLDを示すものとして,疾患感受性C^*08:01-B^*40:06-DRB1^*09:01-DQB1^*03:03ハプロタイプ、C^*01:02-B^*54:01-DRB1^*04:05-DQB1^*04:01ハプロタイプ,および疾患抵抗性C^*12:02-B^*52:01-DRB1^*15:02-DQB1^*06:01-DPB1*09:01ハプロタイプとA^*33:03-C^*14:03-B^*44:03ハプロタイプが同定された。発症年齢との関連解析ではDRB1^*09:01の頻度が2~5歳発症例で有意に高かった。C^*01:02,C^*08:01などのクラスI遺伝子については発症年齢で有意な差はなかった。 HLA以外の関連遺伝子SNPについては,症例対象研究でrs11171739(ERBB3),rs3757247(BACH2),rs231726(CTLA4),rs2290400(ORMDL3-GSDMB)が疾患感受性SNPとして同定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HLAクラスIIおよびクラスI遺伝子,およびそれらの連鎖不平衡の解析,TDTを用いたgenomic imprintingの解析,遺伝因子と発症年齢との関連解析,HLA以外の遺伝子SNPの解析,など順調に進んでおり,成果が得られている。
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