研究課題/領域番号 |
22591142
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 靖敏 久留米大学, 医学部, 教授 (00225400)
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研究分担者 |
西岡 淳子 久留米大学, 医学部, 助教 (00449919)
ポバルコ ナターリア 久留米大学, 医学部, 准教授 (10399181)
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キーワード | klotho遺伝子 / エネルギー代謝 / ミトコンドリアDNA / 老化 / 電子伝達系酵素 |
研究概要 |
Klotho遺伝子のノックアウトマウス(Klotho KOマウス)では、ヒトの老化に類似した種々の症状を来すことから、老化現象に関わる重要な遺伝子として報告された。この遺伝子は、ヒトおよびマウスでほぼ同じ構造を有するβグリコシダーゼ遺伝子ファミリーに属し、膜型と分泌型タンパクとして存在することが示された。膜型Klothoタンパクは、膜レセプターとしてFGF23分子と結合する事で、細胞内シグナル伝達を司り、カルシウムとリンの生体内恒常性に重要な機能を担っていることが報告された。しかしながら、Klotho遺伝子の構造から想定されるその他の機能として、グリコシダーゼ活性を介した種々の酵素反応の制御、分泌型タンパクとしての全身臓器を標的とした機能に関しては、未だ解明されていない。我々は、Klotho KOマウスで、正常加齢と異なる、電子伝達系複合体II活性の酵素生化学的並びに組織化学的な選択的低下を見いだした。Klotho分子の機能と複合体IIの分子集合成熟過程で、どのような接点があるのかを解明するために、まず、予備実験と同じ生命現象が起こるかどうかをin vivoで確認する。確認された場合は、さらに、Klotho KOマウスでの1)ミトコンドリアDNAの量的質的異常の検討、2)複合体IIの4つのサブユニットすべての遺伝子発現状態の解析、3)Klotho KOマウス培養細胞系での複合体II遺伝子発現に与えるKlotho分子の影響に関し検討し、Klotho分子種の機能とミトコンドリア電子伝達系酵素の活性発現調節の接点を解明する。今年度の研究では、複合体Hの酵素活性が低下していたことから、ブルーネーテイブゲルを用いた、複合体IIのサブユニットの交叉抗原性のあるタンパクとして検出したが、CRM陽性の酵素タンパクの全般的低下を示した。複合体IIのRNAの発現レベルは、RT-PCRで確認したところ、その発現レベルは正常と比較し、明らかに低下していた。これは、クロソ遺伝子が、核の遺伝子発現を直接変化させた可能性があり、DNA-RNA-タンパクのセントラルドグマに沿って、その分子機構を解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他の研究の大きな進展があり、その分野での研究を精力的に行う必要があったため。しかし、本研究も、現在論文化の手続きを取っており、進んでいると思う。
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今後の研究の推進方策 |
現在の論文を投稿し、その後の関連した新規知見も順次論文化する予定である。
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