研究課題
思春期やせ症群の病態解明を目的とした機能的脳画像の応用について、平成22年度、23年度と以下の事を報告した。近赤外線光トポグラフィーなど脳科学の技術を駆使し、思春期やせ症の認知機構を脳科学の視点から「体型」や「高カロリー食」など症状関連因子の暴露より、「母子愛着課題」などで顕著に前頭前野が賦活されること。また、思春期やせ症における不安障害、衝動性の解明のため、ベンゾジアゼピン受容体に親和性のある [123I] Iomazenilを用いた脳SPECT検査を実施し、前・後方帯状回におけるiomazenilの結合能が治療前には有意に低下していたが、治療後、同部位における活性が有意に上昇した。緊張―不安、怒りー敵意、混乱が強いほど前方帯状回における活性が有意に低下していた。今年度には新たな機能的脳画像として、眼球運動追跡装置であるアイトラッカーを用いて、症状関連因子暴露時の注視点、時間について、検討した。思春期やせ児童では、言語的な肥満恐怖や、食材へのこだわりを表現しないが、やせ体型と標準体型の画像を提示した場合、やせ体型を注視する時間が有意に長く、食材に関しても高カロリー群より低カロリー群に没頭的に注視して関心を示す事が判明した。前思春期例では肥満恐怖などを示さない非典型例が多いとされるが、潜在的に体型への固執も強いと思われた。また、不安障害併存の思春期やせ症では人の顔認知課題を課した時に、顔の眼周囲の注視を回避する事がわかった。対人関係を構築するうえで、人の表情を認識する事は重要であるが、この回避が食事への原始的没頭につながる事が示唆された。その他の病態解明として、思春期やせ症の発症メカニズムと考えられる視床下部ー下垂体ー副腎系の活性を検討した。体重減少率が高い程、活性が亢進していたが、正常者で認められる抑うつや活気度などの心理尺度との相関が破綻している事が判明した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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