研究課題/領域番号 |
22591145
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
西 芳寛 久留米大学, 医学部, 講師 (20352122)
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研究分担者 |
松石 豊次郎 久留米大学, 医学部, 教授 (60157237)
御船 弘治 久留米大学, 医学部, 講師 (70174117)
山下 裕史朗 久留米大学, 医学部, 准教授 (90211630)
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 教授 (80188284)
河原 幸江 久留米大学, 医学部, 講師 (10279135)
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キーワード | 発達障害 / 神経内分泌 / ペプチドホルモン / 遺伝子解析 / グレリン / 脳神経科学 / Translational Research / 生理活性 |
研究概要 |
(1).レット症候群(RTT)の女児32症例の空腹時血中グレリン濃度を測定し、健常女児55症例の血中濃度と比較した。血中の総グレリン(T-Ghr)濃度,活性型オクタン酸修飾型グレリン濃度(O-Ghr)ともに、健常女児と比較してRTT女児では血中濃度が低下していた。血中グレリン濃度の年齢推移についても、RTT女児のデーターは健常女児とは異なるパターンを示した。RTT女児の中では摂食障害や消化管運動障害を有する症例でグレリンの血中濃度がより低下していた。RTT症例におけるグレリンの産生・分泌動態の異常が確認された。さらに低グレリン血症がRTTの臨床症状の「摂食障害」や「消化管運動障害」に関連している可能性が推定された。研究成果は「第84回日本内分泌学会総会」「第53回日本小児神経学会総会」「レットシンポジウム2011(厚労省・難治性疾患克服研究事業)」で報告し、小児神経科学の専門誌「Int.J.Developmental Science」に論文報告した。同論文は2011年10月の「Rett Research Highlighted Articles and Publications」として米国の「The International Consortium of Rett Syndrome Clinical Researchers(RETTSEARCH)」のWeb上で紹介された。 (2).レット症候群の原因遺伝子:MecP2のExon3-4を欠損させたKOマウス(RTTマウス)は、レット症候群に類似した表現系を示す。われわれはRTTマウスでのグレリン産生分泌動態を検討した。同マウスの血中グレリン濃度(T-Ghr)は、レット症候群(ヒト)と同様に、健常コントロールより有意に低下していた。さらに脳内の活性型グレリン含量も有意に低下していた。この結果は上記の「レットシンポジウム2011」で報告し、論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトを対象とした「レット症候群」におけるグレリンの産生分泌動態と臨床症状との関連について、論文報告1報と、3回の学会発表(シンポジウム講演を含む)を行っている。上記以外のグレリン関連の論文(総説論文を含む)に付いても、H.23年度中に3報を報告しており、本研究は「おおむね順調」に進展していると考える。 RTTモデルマウスを用いた検討も、その一部を上記のシンポジウム等で報告しており、次年度中に論文報告が出来ると考える。さらに、「グレリンとレット症候群」について本申請者(西)が直接指導した本学小児科の大学院生が、H.23年度中に「学位取得(医博)」を達成した。H.24年度からは、新しい大学院生を迎えて、さらに解析を進める予定であり、「研究の裾野」(基盤)は順調に広がってきている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策 (1).Mecp2-koマウス(RTTマウス)を用いた「グレリンの産生・分泌動態」の研究成果を論文報告する。 (2).RTTマウスへのグレリン投与による治療効果の解析について、マウスの個体数を増やして解析する。 (3).脳内のグレリン様免疫活性の本体を確定し、脳発達とグレリンの活性化調節をつなぐ因子の同定を進める。 研究遂行上の問題点 (1).RTTマウスの繁殖に季節性の「ムラ」がある。同マウスの繁殖個体数を増やして、一定のペースで解析実験が進められるように工夫する。具体的には「動物繁殖」に向けたエフォートと人員(大学院生)を増やしていく。
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