研究課題/領域番号 |
22591146
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉橋 博史 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (60286531)
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キーワード | ラッセルシルバー症候群 / ゲノムDNAアレイCGH |
研究概要 |
成長障害を主徴とするラッセルシルバー症候群(Russell-Silver症候群)の原因は、その約40%がエピジェネティック機構異常によるものと報告され、残り約60%の原因は特定されておらず、遺伝的異質性が示唆されている。本研究の目的は、臨床的にラッセルシルバー症候群を疑う患者を対象に、既存の方法では検出不可能であった微細ゲノム構造異常の有無について、オリゴDNAアレイCGHを用いて網羅的に解析し、ゲノムコピー数異常が検出された当該領域に存在する遺伝子(群)および、エピジェネティックによる発症機構を解明することである。症例集積は30症例まで到達するも、さらなる集積を継続する。SNP+CGHマイクロアレイフォーマットは、ゲノムDNAコピー数変化のほか、片親性ダイソミーやLOH(loss of heterozygosity)も同時に検出可能であることから、マイクロアレイのデザイン用ソフトウェア(Agilent社のeArray)を用いて、ラッセルシルバー症候群に関する複数の疾患関連領域(既報告領域を含む)に特化した、独自のカスタムアレイを既に作成・納品済みである。患者コントロール検体を用いたバリデーションにより、本カスタムアレイは、概ね良好な解析精度であることが確認されている。また、ラッセルシルバー症候群と診断された患者検体に対する一部解析を進めるなか、同じ成長障害を主症状とするMulibrey nanism(17q22q23:TRIM37遺伝子)と考えられた症例を経験し報告した。ラッセルシルバー症候群の遺伝的異質性の高さを加味した解析の必要性が考慮された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体は順調に集積されているが、遺伝的異質性の高い疾患特性上、臨床診断基準がどれだけの診断精度を保障するものか不確実な部分もあるとおもわれ、さらなる検体集積が望ましいと考える。また、解析の中心となる独自のマイクロアレイの作成は順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進に関して大きな問題、研究計画の大幅な変更の必要性は、現時点において生じていないものと考えている。
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