研究概要 |
平成24年度においては、-80℃超低温冷凍庫に凍結保存した5株を順次解凍し、凍結前培養株と増殖能を比較した。1x10E5/dishにて培養を継続し、胎児ウシ血清を20%濃度にて添加した間葉系幹細胞(MSC)基礎培地にMSC増殖因子を加えたものを使用した。凍結保存4189-3Fおよび4189-4Fの増殖特性は、継代による細胞集団倍加累積数(PDL)で25以上であった。また凍結保存4189-1F,4189-2Fおよび4093Fの増殖特性は、4継代以上で 15 PDL未満と増殖は弱かった。継代毎のコロニーアッセイCFU-F (1,000 cells/dishで評価)では、4189-3Fと4189-4Fの2株は3継代までは 30 コロニー以上 (33, 41)とコロニー形成能(CFA)は高かったが、4189-1Fと4189-2Fでは、3継代以上では2コロニー以下とCFAは低かった。4093Fでは、1継代の段階で1コロニーであった。以上、凍結保存の5株におけるPDLとCFAとは凍結前と同等の結果であった。解凍後の累積細胞数は4189-3F,4189-4F,4189-1F,4189-2Fでは治療量としての細胞数(2.2x10E3倍以上)に到達したが、4093Fのみは到達しなかった。また解凍後培養早期の段階でG-bandingによる染色体分析を実施した。核板が得られた4株中3株は正常核型であったが、1株で核型異常が認められた。以上の結果より、凍結前培養で増殖能が高い株は凍結保存後においても同等の増殖能を保持することが明らかとなった。しかしながら、一部の株において染色体異常が検出されたことから、今後は染色体異常の発生に係る継代期間の限界に関する検証が必要であると思われた。
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