喘息発作により入院を必要とする小児アトピー性喘息患者を対象として、書面及び口頭により研究についての説明を行い、書面によりインフォームドコンセントの得られた患者から発作時および非発作時の採血を行った。採取した静脈血からフィコールを用いてリンパ球を分離後、キアゲン社のRNeasyによりRNAを抽出し、得られたRNAを使用してマイクロアレイ解析(illumina社のチップを使用)を行った。アレイの発現解析にはGeneSpring(Agilent)を使用した。発現上昇が認められた65遺伝子、低下していた5の遺伝子を喘息発作によって変動した遺伝子として同定した。それらの遺伝子群をGene Ontrogy analysisで解析した結果、21遺伝子が免疫反応、16が感染に対する反応、21が感染防御反応、7がインターフェロン誘導に関連が認められた。また、Chenらが報告(Am J Respir Cell Mol Biol. 2006)したライノウイルス感染時に気道上皮細胞で誘導される遺伝子と、Lilyらが報告(Am J Respir Crit Care Med. 2005)したアレルギー誘発試験によって誘導される遺伝子との共通性を検討したところ、ライノウイルス感染時に誘導された遺伝子との高い共通性が認められた。以上から入院を必要とする喘息発作の場合には、その遺伝子発現プロファイルから、アレルゲン暴露より気道感染症の影響が強いことが示唆された。
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