研究課題/領域番号 |
22591152
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
東馬 智子 金沢大学, 附属病院, 助教 (00377392)
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研究分担者 |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
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キーワード | 自己炎症疾患 / 家族性地中海熱(FMF) / MEFV遺伝子 / pyrin蛋白 / G304R変異 |
研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである。 1)LPS刺激による単核球サイトカイン産生プロフィールの検討 対照ならびに患者末梢血の単核球を分離し、種々の濃度のLPS添加により培養した。培養上清中のサイトカイン濃度をELISA法で定量したところ、患者発熱期には炎症性サイトカイン産生の亢進が認められた。一方、間欠期には逆にLPSにより誘導されるサイトカイン産生は著しく低下していた。 2)EBV感染リンパ球細胞株の樹立 MEFV遺伝子発現を評価するために、正常対照・E148Q/M6941患者・G304R/G304R患者症例の細胞株を樹立した。 3)Pyrin蛋白発現量および細胞内局在についての検討 HEK293T細胞にwild typeと変異MEFV遺伝子を遺伝子導入し、免疫組織染色とイムノブロッディング法を用いて確認した。イムノブロッディングによる検討では、Δex2 cDNAを遺伝子導入した細胞において、mRNAサイズから予想できる、分子量の小さいpyrin蛋白が発現することを明らかにすることができた。細胞内局在に関する検討では、これまでの基礎的研究報告ではこのようなexon2欠損蛋白により、pyrinの細胞内局在に変化が生じることが示唆されているが、今回の解析では確認できなかった。他のinflammmasomeとの相互作用の解析を含めて、今後検討されるべき課題であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
G304R変異(c910G>A)症例はミスセンス変異以外のMEFV遺伝子変異であり、異常な長さのpyrin蛋白発現が優位となり、正常なpyrin蛋白の機能低下や分布異常を引き起こしている可能性が示唆された。これに関して論文発表することが可能であり、おおむね順調な進展であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度に引き続き、pyrin蛋白の機能解析法の確立へと発展させていくことを最終目標として以下のように研究をすすめる。 (1)Pyrin蛋白発現量やその局在が、サイトカイン産生プロフィールとどのように関連するかについて分析する。 (2)他の自己炎症性疾患におけるMEFV遺伝子変異の有無を検討し、疾患修飾因子としてのMEFV遺伝子変異に関しても検討をすすめる。
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