研究概要 |
1.円二色性分光(CD)の波長を二次構造の変化がもっとも大きく現れる220mmに固定し、温度を変化(24℃-80℃)させて、野生型、変異体(マウスβ鎖C末端細胞質内領域のITA Mmotif中にあるチロシンをフェニルアラニンに置換した変異体(FFF,FYF,YFY,FYY,YYF)、β鎖C末端領域から1アミノ酸ずつ欠失させたβ鎖変異体(6種類)、polymorphism(E228G)の温度変化によるタンパク質の構造の変化を検討した。いずれも二状態転移を示したが、野生型や変異体が50℃-60℃の間で急速に二次構造が崩壊しているのに比べ、E228Gでは44℃-70℃の間で緩徐に二次構造が崩壊していた。熱変性曲線に明らかな差異がみられたため、得られたデータをもとにギブスの自由エネルギー(ΔG)を計算した。野生型のΔGが67.05KJ/mol、E228GのΔGが25.80KJ/molであった。E228Gでは熱安定性がかなり低くなっていることが明らかになった。一方、上記の変異体において有意差はなかった。 2.近紫外円二色性分光(near-UV CD)を用いて上記の変異体、polymorphism(E228G)の三次構造を検討した。FYYでは野生型と比べて260-270mm付近で差異があり、この変異が三次構造に影響を与えている可能性を示した。 3.β鎖C末端細胞質内領域のアスパラギン酸(D234)がサイトカインの産生に重要である一方、脱穎粒には影響を与えないことを明らかにした。(Terada T et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.410(2011)744-748.)またCDを用いてアスパラギン酸をアラニンに置換した変異体(D234A)が二次構造に影響を与えないことも明らかにした。
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