研究課題/領域番号 |
22591160
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋井 佳子 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60343258)
|
研究分担者 |
太田 秀明 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60322187)
岡 芳弘 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20273691)
宮下 恵美子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40528395)
|
キーワード | 小児血液悪性腫瘍 / 免疫療法 / WT1ペプチドワクチン / 同種造血幹細胞移植 |
研究概要 |
臨床研究:「WT1ペプチドワクチンを用いた難治性小児血液腫瘍患者に対する同種造血幹細胞移植後免疫療法第二相試験」を急性骨髄性白血病3例、急性リンパ性白血病3例、悪性リンパ腫1例の計7症例に対して施行している。現在、1例を除き寛解を維持している(ワクチン開始後から中央値365日)。ワクチン開始前後のWT1mRNAを微小残存病変として比較するとWT1ワクチン開始時に正常値以上であった3例ではいずれもワクチン開始後に正常値以下に低下していた。有害事象は局所の発赤、水疱形成のみで移植片対宿主病の増悪はみられなかった。また再発した1例では腫瘍細胞でのHLA遺伝子は検出されたがHLAの発現が欠失しており、このためWT1ワクチンが無効になったと考えられた。 基礎研究:同種造血幹細胞移植後にWT1ワクチン接種により誘導されるWT1特異的キラーT細胞(WT1特異的CTL)をフローサイトメトリーによってソーティングしヒト個人識別法を用いて由来を検討したところドナー由来であった。また各症例におけるWT1ワクチン接種後のWT1特異的CTLの末梢血中絶対数を経時的に検討したところWT1ワクチン接種開始8週間後から正常値を超えて増加しワクチン接種前後で有意に増加していた(P<0.001)。また末梢血のみならず骨髄はまさに抗腫瘍効果の発現される場所であるため骨髄中のWT1特異的CTLの割合を検討したところワクチン開始前は0.2%であったが開始後は0.23%と増加傾向がみられた。これらのWT1特異的CTLのphenotypeを検討したところ末梢血および骨髄においてエフェクターT細胞やエフェクターメモリーT細胞が増加していた。以上のことからWT1ワクチンは同種造血幹細胞移植後のドナーT細胞による抗白血病効果を増強し再発抑制効果が期待されると考えられる。
|