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2011 年度 実績報告書

食細胞異常症のヒト化マウス作製と病態解析・治療開発への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22591161
研究機関広島大学

研究代表者

小林 正夫  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00162016)

研究分担者 梶梅 輝之  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40278924)
キーワード食細胞異常症 / 先天性好中球減少症 / 免疫不全マウス / ヒト化マウス / 異種間移植
研究概要

食細胞異常症では多くの遺伝子異常が同定されてきているものの,遺伝子異常から発症にいたる病態の分子基盤は明らかでないものも多い。その中で,先天性好中球減少症は種々の遺伝子異常を原因とするheterogenousな疾患群である。好中球エラスターゼ遺伝子変異を示すものが約70%であるが,好中球減少にいたる病因は明らかでない。本研究では先天性好中球減少症の病態解明を目的としてヒト化マウス作製を試みている。先天性好中球減少症患者の骨髄細胞からCD34陽性細胞を純化し,免疫不全マウス(NOD-Scidマウス)への異種間移植を施行した。移植後8週目にマウス骨随を採取し,ヒト細胞(ヒトCD45陽性細胞)の生着を確認し,先天性好中球減少症における骨随像の特徴である前骨髄球から骨髄球での成熟障害が認められるかどうかを検討した。マウス骨髄細胞の約30%がヒトCD45陽性細胞であり,そのうち骨髄顆粒系細胞が約35%を占めていた。ヒト細胞をCD45陽性細胞として純化して,DNA抽出を行い,ダイレクトシークエンスを行い,先天性好中球減少患者で認められた遺伝子変異と全く同じ変異を確認した。純化ヒト細胞の形態検査,細胞内酵素の局在を免疫蛍光染色で観察すると,ヒト骨髄で認めらた,好中球エラスターゼの細胞内局在とほぼ一致していたことから,免疫不全マウス骨随にみられたヒト細胞は先天性好中球減少症の骨髄所見を反映していると推測された。この疾患モデルが再現性よく免疫不全マウスで作製することが出来るかを他の先天性好中球減少症患者由来骨髄細胞を用いて検討を重ねているが,ヒト細胞の生着が認められたマウスにおいてはヒトと同じ骨髄像を認めることが明らかとなったので,今後は生着高率を高めてヒト細胞の解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先天性好中球減少症患者由来骨髄細胞の免疫不全マウスへの異種間移植はその程度の少ないマウスは存在するものの,ヒト細胞の生着は確認出来ている。現在,生着マウスからのヒト細胞の純化とヒト細胞の解析を行っているので,この解析が患者骨髄の病態を表しているかどうかの検討に着手できている。これらの研究経過,進捗状況はほぼ予定通りに進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

免疫不全マウスに生着したヒト細胞の解析に着手しているので,この結果が患者骨髄で得られている結果と比較することで,ヒト化免疫不全マウス力がこの疾患の病態を反映しているかどうかを確認することが最終年度の課題である。生着したヒト細胞が十分でない可能性があるので,より多くのヒト細胞の生着が得られる工夫が必要と考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Clinical and host genetic characteristics of Mendelian susceptibility to mycobacterial diseases in Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Hoshina T, Kobayashi M, et al
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Immunology

      巻: 31 ページ: 309-314

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantification of k-deleting recombination excision in Guthrie cards for identi fication of early B-cell maturation defects2011

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa K, Kobayashi M, et al
    • 雑誌名

      Journal of Allergy & Clinical Immunology

      巻: 128 ページ: 223-225

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gain of function of human STAT1 mutations impair IL17 immunity and undelie chronic mucocutaneous candidiasis2011

    • 著者名/発表者名
      Liu L, Kobayashi M, et al
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 208 ページ: 1635-1648

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Decreased expression in nuclear factor-kB essential modulator due to a novel-site mutation causes X-linked ectordermal dysplasia with immunodeficiency2011

    • 著者名/発表者名
      Karakawa S, Kobayashi M, et al
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Immunology

      巻: 31 ページ: 762-772

    • 査読あり
  • [学会発表] Clinical and genetic characteristics of patients with severe congenital neutropenia in Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi Y, Kobayashi M, et al
    • 学会等名
      53^<rd> American Society of Hematology Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      20111210-20111213
  • [学会発表] Suppressed neutrophil development in hematopoiesis of induced pluripotent stem cells derived from a severe congenital neutropenia patient with ELA2 mutation2011

    • 著者名/発表者名
      Hiramoto T, Kobayashi M, et al
    • 学会等名
      53^<rd> American Society of Hematology Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      20111210-20111213
  • [学会発表] JAK2 mutations and CRLF2 rearrangements in Down syndrome-associated acute lymphoblastic leukemia in Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Hanada I, Kobayashi M, et al
    • 学会等名
      53^<rd> American Society of Hematology Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      20111210-20111213
  • [図書] 今日の小児治療指針「好中球減少症」2011

    • 著者名/発表者名
      小林正夫
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2013-06-26  

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