研究課題/領域番号 |
22591163
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
江口 峰斉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50420782)
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研究分担者 |
江口 真理子 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (40420781)
石井 榮一 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20176126)
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キーワード | TEL/ETV6 / TEL-AML1 / ES細胞 / 造血細胞分化 |
研究概要 |
TELの機能およびTEL-AML1融合遺伝子による腫瘍化のメカニズムを解析するために、マウスES細胞の実験系の作製を試みた。Chicken-β-actin(CAG)プロモーター下に野生型TELおよびTEL-AML1融合遺伝子を発現する発現ベクターを作製し、マウスES細胞に導入し、恒常的に発現するES細胞株を樹立した。このES細胞を用いて、造血細胞の分化・増殖にこれらの遺伝子が与える影響について解析した。胚様体(Embryoid body, EB)を形成させ、造血細胞へ分化させると分化5-7日後に造血細胞の出現を認める。定量PCRを用いた解析では、TEL遺伝子の発現はES細胞が未分化な状態から認められ、造血細胞の出現にともなってその発現が2-3倍に上昇する。TELの発現は未分化ES細胞の生存・増殖には影響を与えず、造血細胞への分化も可能であった。開始後6-7日の細胞を用いたコロニーアッセイでは、TELを発現するES細胞由来のEBでも、コントロールのEGFPを発現するEBと比較して、造血コロニー形成能は同程度であった。FACS解析では、TELを過剰発現するES細胞は、コントロールのES細胞と比較して、極めて未分化な造血幹細胞Tie2陽性のを含む細胞群が増加していた。TEL-AML1を発現するマウスES細胞の解析では、分化開始6-7日後に出現するc-kit+/Scal+の造血幹細胞を含む細胞群が減少しており、同時に造血コロニー形成能がコントロールのES細胞と比較して低下していた。定量PCR解析では、TEL-AML1発現ES細胞ではAML1の標的遺伝子を含む骨髄系の分化マーカーである遺伝子群の発現低下を認めたが、E2aなど、Bリンパ球への分化決定に必須な転写因子の発現は保たれていた。現在、これらの表現型と白血病化との関連性に関して検討を進めている。
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