研究課題/領域番号 |
22591166
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
土屋 邦彦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90381938)
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研究分担者 |
細井 創 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20238744)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (20285266)
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キーワード | 横紋筋肉腫 / 融合遺伝子 / LXXLL motif |
研究概要 |
小児で最も頻度の高い軟部悪性腫瘍である横紋筋肉腫は、組織型として胞巣型と胎児型に大別される。胞巣型では、PAX3-FKHR、PAX7-FKHRの二つの融合遺伝子が同定されており、腫瘍化に寄与していることが明らかになりつつある。一方、胎児型において特定の融合遺伝子は今まで確認されていない。今回、我々は胎児型の症例で認められた複雑な染色体転座を解析し、新規融合遺伝子PAX3-NCOA2を同定した。レトロウイルス発現系を用いて、本融合遺伝子の機能解析を行い、特にPAX3-FKHRとの差異、共通点について検討し、依然予後の極めて不良なPAX3-FKHR陽性横紋筋肉腫の病態、ひいては横紋筋肉腫発生における分子機構を解明することを目的とする。 マウスの筋芽細胞にPAX3-NCOA2やPAX3-FKHRタンパクを強制的に発現させた細胞株について検討し、融合遺伝子タンパクを発現した細胞は増殖能が高いこと、さらにPAX3-FKHR強制発現筋芽細胞はPAX3-NCOA2強制発現筋芽細胞に比べてより増殖能が高いこと、さらに運動転移能についても増殖と同様の増加が認められた。またPAX3-NCOA2、PAX3-FKHR、PAX3、コントロールベクターの安定発現細胞株(C2C12、NIH3T3)を用いて、PAX3の転写標的であるmyogeninやmetのプロモーターのルシフェラーゼアッセイを行い、コントロールベクターに比し、PAX3、PAX3-NCOA2、PAX3-FKHR強制発現筋芽細胞の順に転写活性が高いことが明らかになった。また、コントロールベクター以外の強制発現筋芽細胞株は筋細胞への成熟が起こらないことから、PAX3-NCOA2はPAX3-FKHRに比べて弱いものの横紋筋肉腫の発生に関与することが証明された。さらに、これらの安定発現細胞株のマイクロアレイを行い、PAX3-FKHRとPAX3-NCOA2で発現に差異を認める遺伝子を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、平成22年度に計画したPAX3-NCOA2、PAX3-FKHR、PAX3安定発現細胞株の作成、PAX3-NCOA2の増殖、分化、転写因子活性に及ぼす影響、平成23年度以降に計画したPAX3-NCOA2、PAX3-FKHR、PAX3、コントロールベクターの安定発現細胞株のマイクロアレイを行い、PAX3-FKHRとPAX3-NCOA2で発現に差異を認める遺伝子を発見した。よって、おおむね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、マイクロアレイにより見出したPAX3-FKHR陽性横紋筋肉腫の予後不良に関与する候補遺伝子につき、機能解析を行う。また、PAX3-NCOA2、PAX3-FKHRのLXXLL motifをLXXAAとしたmutagenic constructをmutagenic PCRを用いて作成し、これをレトロウイルスベクターにクローニングし、C2C12、MH3T3に遺伝子導入を行い、G418によるselectionを経て安定発現細胞株を作成する。この細胞株について増殖、分化への影響を検討する予定である。
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