研究概要 |
免疫不全マウスであるNOGマウスにハイドロキシアパタイトに構築した人工骨髄を皮下移植した。ヒトCD34陽性細胞を尾静脈より移植し8週後に人工骨髄内にヒトCD34陽性細胞の存在が認められ、その人工骨髄をNOGマウスに3次移植までおこない免疫染色にてCD34陽性細胞の存在が確認でき長期にわたりヒト造血細胞が人工骨髄内にとどまっていることを確認した。またNOGマウスに移植する人工骨髄の数を増やして再度移植実験を行いヒトCD45陽性細胞がマウスの末梢血に確認されれば、皮下ニッチが造血の場として機能していたことが確認できるため、G-CSF等のサイトカインを腹腔内注射し、サイトカイン刺激により末梢血中のヒトCD45陽性細胞の割合やCD45陽性細胞中の分画の変化をフローサイトメトリーを用いて解析したが、十分解析できるだけのヒト細胞が末梢血に認められなかった。 Ang-1/Tie2, Trombopoietin/MPL, CXCR4/CXCL12や接着因子N-cadherin/b-catenin、VLA-4等の発現を検索するため組織からRNAを抽出して保管している。またヒト脂肪細胞からも人工骨髄を作成する目的でまずはマウス脂肪由来の人工骨髄の作成に成功し、ルシフェラーゼ遺伝子を導入したマウス造血幹・前駆細胞を、皮下に人工骨髄を移植されたマウスの尾静脈から造血幹細胞移植をした(1次移植)。1次移植2か月後の人工骨髄には未熟な血球細胞を確認した。2次移植後最低6か月は人工骨髄部に造血細胞の存在が確認されG-CSF投与後に2次移植マウスはその人工骨髄由来の血球の増加がIVISで全身が発光することで認められた。これらの所見は脂肪由来ストローマ細胞から作成した人工骨髄が自己複製能と多分化能を維持できる環境(骨髄ニッチ)を提供する能力を有することを示すものであり、今後の臨床応用が期待される。
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