研究概要 |
平成22年度にRQ-PCR法でMRD測定を行い評価可能な症例は初発ALLが61例、再発ALLが18例の計79例であった。初発例では改訂後の方法で再構成スクリーニングを行い、55例(90%)で1個以上の再構成を検出した。新規検出対象となった再構成であるTCRβは12例で検出されたが、IgH鎖DH-JH、SIL-TALについての検出例はなかった。さらにこの61例のうち治療後のフォローアップ検体を受領した43例については、全例でRQ-PCRによるMRD定量が可能であった。またその定量感度はすべて10の-4乗以下で、10の-5乗に達していたものは32例(74%)であった。一方、再発例では再構成検出可能例は17/18例(94%)、MRD定量はこの17例全例で可能であった。その定量感度が10の-5乗に達していたものは10例(59%)であった。この結果から本研究の2つの研究課題(「MRD検出率の向上」と「RQ-PCRによるMRD測定感度の向上」)の目標はほぼ達成できたと評価できる。 また平成22年度から正式参加を承認された欧州BFMグループにおけるALL-MRD専門研究機関(EURO-MRD)の再構成検出およびRQ-PCRによるMRD定量法の精度管理を目的とするQuality Control Roundの第17,18回に参加し、当施設の定量技術の精度を確認した。第17回(6/9-10、バルセロナ)における当施設の正解率は77.8%でであった。欧州の諸施設と同等の結果が得られている実態を確認できた。これらは国内では如何にしても知り得ない重要な情報であり、今後も本研究会参加によって継続的な精度管理が可能と考えられた。
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