研究課題/領域番号 |
22591171
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研究機関 | 群馬県衛生環境研究所 |
研究代表者 |
外松 学 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (70251113)
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研究分担者 |
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
朴 明子 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (50450375)
大木 健太郎 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (50400966)
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キーワード | 遺伝子 / ゲノム / マイクロアレイ / 癌 / 臨床 |
研究概要 |
Juvenile myelomonocytic leukemia(JMML)と小児myelodysplastic syndrome(MDS)に対して、AffymetrixとAgilentのゲノムとエピゲノムのアレイを用いた網羅的解析により候補遺伝子を抽出し、発症、進展に関与する遺伝子をみい出す。近年、成人の急性骨髄性白血病(AML)とMDSでadditional sex combs like 1(ASXL1)、isocitrate dehydrogenase (IDH1)、IDH2、DNAメチルトランスフェラーゼ3A(DNMT3A)遺伝子等の変異がみられ、予後と相関することが報告された。今年度は、polycomb関連遺伝子のASXL1遺伝子とDNAメチル化に関与するIDH1、IDH2、DNMT3A遺伝子についてJMML40例とMDS65例、AML20例でPCR法と直接塩基決定法にて変異の有無の解析を行った。JMML40例の検討では、ASXL1遺伝子変異は1例(2.5%)にみられ、この症例はPTPN11やRAS遺伝子の変異はみられず、ASXL1遺伝子はJMMLの原因遺伝子の1つであることが示唆された。ASXL1遺伝子変異はMDSではみられなかった。またJMMLとMDSにおけるIDH1、IDH2、DNMT3A遺伝子の変異はみられなかった。ASXL1遺伝子変異は成人のAMLとMDSでは約20%に変異がみられるが、小児MDSではまれであり、JMMLで1例だけ認められ、これまでの報告と合わせるとJMMLの一部の発症と進展に関与するものと思われた。小児AMLではASXL1、IDH1、DNMT3A遺伝子の変異はみられなかったが、1例にIDH2のR140Q変異がみられ、この症例は12歳男児でt(8;21)を有し、寛解に導入されたが再発し、死亡している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SNPアレイでスクリーニングした候補遺伝子を次々とSanger sequenceにより検証しており、特にDNAメチル化に関与する遺伝子の関係が明らかになりJMMLの病態解明に貢献している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最近成人のMDSで報告されたsplicingに関与する遺伝子(U2AF35、U2AF65、SF3A1、SF3B1、SRSF2、ZRSR2、SF1、PRPF40B等)につき検討する予定である。また一部の症例でエクソーム解析の準備を行う予定である。
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