研究課題
研究の目的:過去に報告のないt(9;17)(p24;q23)を持つ難治性急性リンパ性白血病(ALL)の発がん機構を解明し、その治療開発への糸口をつかむ.研究成果:前年度までの研究で,その切断点から染色体9p24上のJAK2遺伝子の関与をFISH解析で確認した.JAK2遺伝子は,一部の白血病で転座と骨髄増殖性疾患とダウン症ALLで,各々別の部位の点突然変異が存在することが知られている.また造血器腫瘍において次世代シークエンサー(NGS)の発展により新たな融合遺伝子も次々と報告されている.PCRを使った方法では転座相手を同定できなかったため、NGSを用いた.白血病細胞からRNAを抽出し,mRNAを分離し,NGSによるpair end RNAシークエンス(Illumina HiSeq2000)で解析した.得られた情報をヒト遺伝子へマッピングし,17q21上にある新規遺伝子とJAK2遺伝子の融合を検出した.得られた融合遺伝子の情報から切断点を挟むプライマーを作成し,RT-PCRを行い,ダイレクトシークエンスを行った.配列から融合遺伝子の存在を確認した.このALLにおいて,JAK2遺伝子と融合する血液疾患としては10番目,ALLとしては7番目の新規遺伝子(論文投稿中)を発見した.またこの白血病の予後不良を決定づける可能性のある他の遺伝子の解析も行った。MLPA法を用いて,IKZF1,PAX5,CDKN2A/2B,BTG1遺伝子において欠失を確認した.近年,本例のようなチロシンキナーゼの活性化とIKZF1遺伝子の欠失を持つB-ALLが,BCR-ABL-ALLと似た遺伝子発現を示し,BCR-ABL (Ph1) like ALLと分類され,BCR-ABL阻害薬では効果が限られ,予後不良のため新しい治療法が待たれている.この融合遺伝子の研究は治療開発に応用できると考えられる.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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