研究概要 |
2005年6月から2011年8月にかけて収集された小児呼吸器感染症患者757名 (1ヶ月から11歳, 男436人, 女321人)の鼻咽頭ぬぐい液850検体を使用した。HBoVの検出にはHBoVのVP1/2領域を増幅するNested PCR法を用い、増幅後に塩基配列を確認した。ClustalWを用いて既知のHBoVの塩基配列との相同性を検討して、HBoV1-4のいずれかに属するかを決定した。HBoV以外の呼吸器ウイルスとして計14種類の呼吸器ウイルスの有無を検索した。 850検体中145検体(17.1%)からHBoVが検出された。その内訳はHBoV1が132検体(15.5%)、HBoV2が5検体(0.6%)、HBoV3が3検体(0.4%)、HBoV4が5検体(0.6%)であった。HBoV1が検出された132検体のうち76検体(57.6%)はHBoV1の単独検出で、他の呼吸器ウイルスは検出されなかった。HBoV2が検出された5検体のうち3検体(60.0%)、HBoV4が検出された5検体のうち4検体(80%)は各々のHBoVの単独検出で、他の呼吸器ウイルスは検出されなかった。 HBoV1に加えてHBoV2, 3, 4が小児呼吸器感染症患者の鼻咽頭ぬぐい液から検出された。HBoV2が呼吸器感染症患者の2.3-4.3%から検出されたとの報告はあるが、HBoV3とHBoV4が呼吸器感染症患者から検出されたとの報告は過去にはない。HBoV2とHBoV4が単独で検出された検体が存在したことから、HBoV2, 4は呼吸器感染症と関連している可能性があると考えられた。
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