研究課題/領域番号 |
22591183
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西尾 壽乘 九州大学, 大学院・医学研究院, 客員助教 (00507783)
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研究分担者 |
池田 和幸 九州大学, 大学病院, 助教 (30507786)
山村 健一郎 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30532858)
永田 弾 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (20570790)
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キーワード | 自然免疫 / 川崎病 / 冠動脈炎 / Nod-like receptor |
研究概要 |
1.NLR ligand誘発冠動脈炎モデルの病態に関する検討 NLR ligandにより冠動脈炎が誘発されること、そしてその部位特異的血管炎症は組織それぞれの内因的因子によるものと考えられることを、Arterioscler Thromb Vasc Biol誌(2011)に公開することができた。さらに、その病態について評価するため、NOD1-/-骨髄をwild typeマウスに、さらにwild type骨髄をNod1-/-マウスに骨髄移植し、そのマウスで血管炎が発症するかについて検討を行ったところ、末梢血がild typeであっても組織でNLRが欠損していれば血管炎を発症し、末梢血のNLRが欠損していても、組織がwild typeであれば血管炎が発症することがわかった。以上から、このモデルでは末梢血はその血管炎の増強に影響するだけで、血管炎の本質はその組織にあることを解明することができた。また、血管炎発症に影響があると考えていたIL-6やCCL2をノックアウトしても、血管炎は発症することから、単一のサイトカインではなく、様々なサイトカイン・ケモカインの影響で血管炎が発症していることが分かった。 2.NLR ligand誘発冠動脈炎モデルを用いた動脈硬化の進展の検討 動脈硬化病変を来すApoE KOを用い、5週齢のApoE KOマウスに対してNLR ligandを投与すると、動脈硬化の促進、特に早期の動脈硬化巣の促進を認めた。これについては、自然免疫リガンドであるNLR ligandでは今まで報告のない結果であり、常在細菌叢と動脈硬化の進展は以前より指摘されているものの裏付けるデータはなかったが、この結果がそれを裏付ける結果と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NLR ligand誘発冠動脈炎についてArterioscler Thromb Vasc Biol誌に公表し、さらにその病態について様々なノックアウトマウスを使い解明できている。また、NLR ligandと動脈硬化についても新しい知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに様々なノックアウトマウスを組合せながら使い、病態を解明していく。また、NLR ligandと動脈硬化の新たな知見については、病理組織、免疫組織化学染色、定量PCR、マイクロアレイによる解析を加えながら、研究を進めていく。
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