1.NLR ligand誘発冠動脈炎モデルの病態に関する検討 IL-6やCCL2が本モデルにおいて重要なサイトカイン・ケモカインと考えていたが、CCR2ノックアウトマウスに対してNLR ligandを投与しても冠動脈炎は発症した。さらに、抗IL-6抗体や抗CCR2抗体による追加実験を行ったところ、抗CCL2抗体では冠動脈炎発症は抑制できなかった。抗IL-6抗体については1/3で冠動脈の抑制効果と認めた。以上からも、本モデルにおいて、単一のサイトカイン・ケモカインが発症に関わっているのではなく、様々なサイトカイン・ケモカインが関わりながら発症していると考えられた。 2.NLR ligand誘発冠動脈炎モデルを用いた動脈硬化の進展の検討 NLR ligandを動脈硬化モデルであるApoEノックアウトマウスに投与すると、動脈硬化が促進し、特に投与早期に関わっていることが分かっていたが、長期においては他の因子が加わってくるため、動脈硬化に大きな差は認めなかった。動脈硬化巣の組織のマイクロアレイにより、CCL5がこのNLR ligandによる動脈硬化促進に大きく関わっていることもわかった。
|