パンデミックインフルエンザウイルス感染をはじめとする小児重症ウイルス性肺炎において、迅速な診断の確定はその予後を左右しうる重要な要素であり、迅速・簡便な確定診断法の確立は急務と考えられる。 我々は新型インフルエンザウイルス感染に対する迅速確定診断法であるLAMP法の開発に成功し、その臨床応用が可能であることも確認しているが、それに加え、他の小児重症ウイルス性肺炎の原因ウイルスに対するLAMP法のセット、すなわちLAMP法パネルを作成し、このパネルを用いて小児重症ウイルス性肺炎の迅速な鑑別診断がベッドサイドのレベルでも行えるシステムの構築を目指す。同時に、このシステムを用いてインフルエンザパンデミック期にどのような原因ウイルスが小児重症ウイルス性呼吸器感染症を引き起こしているのかを明らかにし、それらに対するウイルス学的解析も行っていく。 平成22年度には、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一博士と共同で、新型ならびに季節性インフルエンザウイルスに対するLAMP法のパネルを完成させた。現在パラインフルエンザウイルスやRSウイルスなど他の小児重症肺炎の原因ウイルスに対するLAMP法の作成を継続中である。 平成23年度からは、長崎大学病院小児科の森内浩幸教授と共同で、長崎大学小児科から臨床検体の提供をうけ、我々の作成したLAMP法の系と、平成22年度にセットアップの完了した既存のリアルタイムPCRの系の感度・特異度を比較し、我々のLAMP法の系の臨床応用の可能性を検証していく。
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