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2011 年度 実績報告書

ヒト上気道細胞モデルを用いた新規インフルエンザウイルス複製機序の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 22591187
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

佐藤 晶論  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60423795)

研究分担者 細矢 光亮  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
橋本 浩一  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
大原 信一郎  福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (00566846)
キーワードインフルエンザ / アポトーシス / プロテアーゼ
研究概要

前年度の研究で求められたウイルス量を半減させることのできる濃度(EC50)の10倍の濃度のプロテーゼ阻害剤をもちいてウイルス増殖実験を行った。ウイルス感染72時間後まで経時的にウイルス量をリアルタイムPCR法で定量化し、さらにウイルスヘマグルチニン(HA)の開裂の様子をウェスタンブロット法にて確認した。
1.ウイルス感染8時間後までは、トリプシン添加プロテアーゼ未添加条件、トリプシン未添加プロテアーゼ未添加条件、トリプシン未添加プロテアーゼ添加条件のいずれのウイルス量にも差はなかった。
2.培養72時間後の培養上清中のウイルスHAの開裂について、トリプシン添加プロテアーゼ未添加条件ではすべてのHAは開裂、トリプシン未添加プロテアーゼ未添加条件では約半数のHAが開裂、トリプシン未添加プロテアーゼ添加条件ではほとんどのHAが未開裂であった。
3.各条件下でウイルス感染細胞内の細胞質基質を回収しウイルスHAについて確認したところ、HAは非開裂状態であった。
以上から、インフルエンザウイルスは感染8時間以内に第1世代のウイルス複製が完了することが示唆された。さらに、各条件下でのHA開裂状況からHAはMDCK細胞が細胞外へ産生・分泌しているプロテアーゼにより開裂を受けていることが示唆された。
次に培養上清を用いて、ザイモグラムによりプロテーゼの検出を試みた。
1.ザイモグラムにて、カゼインまたはゼラチンを分解するプロテアーゼが検出された。しかし、これらの活性はウイルス増殖を抑制するプロテアーゼによって抑制されなかった。
これは、HA開裂は細胞から培養上清中に分泌されるプロテアーゼの作用によらない、またはザイモグラムでは検出できないプロテアーゼの作用によりHAが開裂をうける可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プロテアーゼの作用によりHAが開裂することは明らかであるが、様々な方法により細胞分画におけるプロテーゼの同定を試みているが、同定までには至っていない。研究計画当初よりもMDCK細胞を用いた手法の確立に時間を要していることから、実際のヒトアデノイドから単離した上皮細胞を用いた研究まで至っていない。

今後の研究の推進方策

HAが開裂していないウイルスを作製し、これを細胞に感染させさまざまなタイミングでウイルスHAの開裂の状況をウェスタンブロッティングで詳細に検討することにより、細胞内外でのHA開裂のタイミングについてさらに検討を加える。
また、細胞分画を感染前後、さらにウイルス感染を経時的に細かく単離することによりHA開裂に関与するプロテーゼの同定を試みる。プロテーゼの同定には質量分析による同定も検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Uteroglobulin-related protein 1 and severity of respiratory syncytial virus infection in children admitted to hospital2011

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto K, Katayose M, Sakuma H, Kawasaki Y, Sumikoshi M, Sakata H, Sato M, Ohara S, Abe Y, Watanabe M, Sato T, Ishibashi K, Suzutani T, Munakata M, Hosoya M
    • 雑誌名

      J Med Virol

      巻: 83 ページ: 1086-1089

    • DOI

      10.1002/jmv.22073

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young children : a systematic review and meta-analysis2011

    • 著者名/発表者名
      Nair H, Brooks WA, Katz M, Roca A, Berkley JA, Madhi SA, Simmerman JM, Gordon A.Sato M., 他38名
    • 雑誌名

      Lancet

      巻: 378 ページ: 1917-1930

    • DOI

      10.1016/S0140-6736(11)61051-9

    • 査読あり
  • [学会発表] The effectiveness of trivalent inactivated influenza vaccine in childrenover six consecutive influenza seasons2011

    • 著者名/発表者名
      Masatoki Sato M.D., Masahiko Katayose M.D., Mitsuaki Hosoya M.D., Takashi Haneda M.D., Hideo Yamaguchi M.D., Yukihiko Kawasaki M.D., Peter F Wright M.D.
    • 学会等名
      49th Annual Meeting of the Infectious Diseases Society of America
    • 発表場所
      Boston, MA USA
    • 年月日
      20111020-20111023
  • [学会発表] インフルエンザウイルス感染細胞のアポトーシスとウイルス複製2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤晶論、Peter F Wright、渡部真裕、阿部優作、大原信一郎、橋本浩一、川崎幸彦、細矢光亮
    • 学会等名
      第43回日本小児感染症学会
    • 発表場所
      岡山県岡山市
    • 年月日
      2011-10-30
  • [図書] 小児科診療2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤晶論、細矢光亮
    • 総ページ数
      601-604
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] 小児感染症診療の落とし穴2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤晶論
    • 総ページ数
      69-71, 72-74
    • 出版者
      南江堂

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公開日: 2013-06-26  

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