研究課題/領域番号 |
22591188
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河井 容子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (60405248)
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研究分担者 |
濱岡 建城 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60189602)
小澤 誠一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40405246)
問山 健太郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (00433285)
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キーワード | 川崎病 / 動脈硬化 / 酸化ストレス / 血管障害 / 血小板 / 抗血小板療法 |
研究概要 |
本研究は、血管内皮障害、炎症、酸化ストレスの3者による悪循環が動脈硬化の発症・進展につながるという仮説のもと、各パラメーターの相互関係を探り川崎病における病態形成の解明を目的とした。 これまでに、川崎病急性期において血管内皮障害により惹起される血小板活性化が回復期以降も持続していること、また酸化ストレスについても炎症所見が消失した後も亢進していることを報告してきた。このことから一見血管炎が終息したように見えても、実は血管障害進展の環境は続いており、後に動脈硬化性病変へと進展することが危惧される。そのため、これら指標を用いた病態評価の重要性が示唆された。 今回さらに、川崎病急性期におけるIVIG治療奏功例および不応例の炎症および酸化ストレスの変動を検討した。炎症性マーカーとして高感度CRP、IL-1,2,6、TNF-αを、酸化ストレスの評価には活性酸素種生成系マーカーとして血中ヒドロペルオキシド(ROM)、消去系マーカーとして血中還元力(BAP)を用いた。その結果、IVIG治療奏功例では治療後にROMは速やかに低下し酸化ストレス状態の改善や炎症性マーカーの低下が認められた。しかしながら、IVIG不応例においては治療前のBAPが健常児および奏功例と比較して有意に低値を示し、IVIG治療後もROMの低下は遅れ酸化ストレス状態が持続していることが明らかとなった。またIL-1,2は高値が持続、TNF-αにおいては上昇しており、炎症が完全に鎮静化されていないことも示された。 これらの結果から、BAPがIVIG不応の予測あるいは早期発見、また急性期治療の効果判定に有用である可能性が示唆された。今後、IVIG反応性における活性酸素種消去系機構の関与について、さらなる検討が必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討を計画した血小板活性化、炎症、酸化ストレスおよび血管内皮機能のうち、これまでに血管内皮機能以外のデータの集積が済んでいる。今後は、残る血管内皮機能について調べるとともに、それらパラメーターの相互関係を検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における検体収集は通常検査の際に平行して行っているため比較的容易あり患者の負担も少ない。さらに研究成果は臨床へ直結する有用なデータとなり得ることから、患者や、また関連病院にも理解と協力を求めデータの収集に努める。
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