マウスUUOモデルにおいて、UUO腎におけるAPJ receptorのmRNAおよび蛋白発現をRT-PCRおよびWestern blotにより検討したところUUO day 7まで経時的にこれらの発現増加を認めた。そこで、UUO day 0からday 7にかけて、ミニ浸透圧ポンプを用いApelin (2mg/kg/day)を持続的に皮下投与したところ、UUO day 7において、Apelin投与群ではコントロール群(生食投与群)と比べ、Masson染色、hydroxyproline定量(HPLC法)による線維化の程度、α-SMA免疫染色によるmyofibroblast蓄積量、Tunel染色による腎尿細管apoptosisの程度はすべて有意に軽減し、またWestern blotによりNitric oxide (NO)合成経路である、Akt、 eNOSのリン酸化の亢進がみられた。これらの変化はAPJ receptor拮抗剤であるF13Aの同時腹腔内投与によりすべて消失し、またApelin投与による腎保護的効果はNO合成阻害剤(L-NAME)をApelinと同時に投与することにより消失した。これらの結果は、Apelin-APJ systemがAkt-eNOS経路を介しNO産生を亢進させることにより腎保護的作用を示すことを示唆しており、Apelin-APJ systemを標的とした腎線維化治療への応用の可能性が示された。
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