研究課題/領域番号 |
22591189
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
西田 眞佐志 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (50275202)
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研究分担者 |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60189602)
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キーワード | 腎線維化 / Apelin / APJ receptor / UUO / Nitric Oxide / アンギオテンシンII / アンギオテンシン受容体拮抗薬 |
研究概要 |
マウスUUOモデルにおいて、UUO腎におけるAPJ receptorのmRNAおよび蛋白発現をRT-PCRおよびWestern blotにより検討したところUUO day7まで経時的にこれらの発現増加を認めた。そこで、UUO day0からday7にかけて、ミニ浸透圧ポンプを用いApelinを持続的に皮下投与したところ、Apelin投与群ではUUOday7においてコントロール群と比べ、腎線維化の程度、腎尿細管apoptosisの程度は有意に軽減し、またWestern blotにより腎組織中のNitric oxide(NO)合成経路である、Akt、eNOSのリン酸化の亢進がみられた。さらにUUOモデルにおいてアンギオテンシン受容体拮抗薬であるlosartanを投与し同様の検討を行ったところ、losartan投与群でUUO day7においてapelin mRNAの発現およびAkt、eNOSのリン酸化がコントロール群と比べ有意に亢進し、同時に腎線維化とmyofibroblast蓄積の軽減がみられた。これらの変化はAPJreceptor拮抗剤であるF13Aを同時に腹腔内投与することにより消失し、またNO合成阻害剤(L-NAME)を同時に投与することによっても消失した。これらの結果は、Apelin-APJ systemがAkt-eNOS経路を介しNO産生を亢進させることにより腎保護的作用を示すことを示唆しており、さらにlosartan投与による腎保護的作用は、一部にはこのApelin-APJ systemを介するものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UUO腎におけるApelin-APJ systemの腎保護的作用およびその機序としてAkt-eNOS-NO系の関与を示した。さらにアンギオテンシン受容体拮抗薬による腎保護作用についてもApelin-APJ systemの関与を示した。
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今後の研究の推進方策 |
Apelin-APJ systemを標的とした腎線維化に対する治療応用の可能性につき、アンギオテンシン受容体拮抗薬とApelinの併用療法の可能性なども検討する。
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