研究概要 |
本研究では、川崎病において、1)川崎病急性期(入院時)患児の口腔・咽頭ぬぐい液を採取し、液体培地で増菌培養し、増菌した細菌群のDNAおよび同時に増殖し得るphage DNAを抽出し、SAg遺伝子の存在の有無をPCRで検討する。SAg遺伝子の存在が確認された場合、その遺伝子を保有する細菌種を同定する。2)GAS以外の正常菌叢と考えられている常在菌の中に、GAS由来のSAg遺伝子を保有する菌の有無を検討し、保有する細菌種が存在する場合、その細菌種を同定し、川崎病発症に果す役割を明らかにすることが目的である。 本年度は、川崎病診断基準を満たして当院に入院した川崎病患児16例から、入院時時に咽頭ぬぐい液を採取して、液体培地(Brain-Heart Infusion Broth)を用いてovernightで増菌培養し、DNA Mini Kit(QIAGEN)を用いて全DNAを抽出し、5つのスーパー抗原遺伝子(SPE-A,SPE-C,SPE-G,SPE-J,TSST-1)断片についてPCRで検討した。その結果、3例からSPE-Gの遺伝子断片が検出された。これらの3例の咽頭ぬぐい液から得られた増菌培養液を寒天培地に散布して、如何なる菌がSPE-Gの遺伝子断片を保有するかも検討中である。また患児から得られた液体培地中の細菌をマイトマイシンを用いて再度増菌培養してphageを誘導し、SPE-Gを保有するPhageが得られるかどうかも検討中である。 今回の検討では、SPE-G以外のスーパー抗原遺伝子断片は得られなかった。
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