研究課題
【研究方法】新しいサブタイプを同定するために、OD症状を持つ小児に対して、Finometerにより連続血圧心拍、心拍出量、末梢血管抵抗、およびNIRSにより酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)を測定し、すでに申請者ら報告した健常児の基準値と比較し、その出現頻度を検討した。【対象】大阪医科大学附属病院にODの診断・治療を希望し、同意した患児。2006年8月から2010年12月まで受診した478名、及び、新たに検査を行った健常群35名。【結果】日本小児心身医学会小児起立性調節障害診断・ガイドラインにしたがって、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、遷延性起立性低血圧、神経調節性失神の分類を行い、さらにこれに該当しない症例をHyper Response Typeと脳血流低下型の基準に従って診断した。その結果、起立直後性低血圧109名(22.8%)、体位性頻脈症候群99名(20.7%)、遷延性起立性低血圧24名(5.0%)、Hyper response型45名(9.4%)、脳血流低下型27(5.6%)、正常反応174(36.4%)。起立後Oxy-Hbの低下は、健常群に比較して、正常反応群以外のすべての群で統計的有意差が認められた。とくに脳血流低下型では著しい低下を認めた(平均-8μMol/L)。【結論と考察】Hyper-response型の特徴は、起立直後の一過性高血圧、心拍増加は正常、脳血流の低下がある。原因として、末梢血管抵抗が上昇や血管の過剰反応があると考えられた。また、脳血流低下型の特徴は、起立後の血圧不安定性、心拍増加は正常、起立直後から生ずる著しい脳血流の低下がある。原因として起立時脳血管収縮が亢進していると考えられた。【結論】両者は、循環動態、脳循環調節機能において、既報のサブタイプとは病態が異なり、新しいサブタイプと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
23年度(~平成24年3月31日)の研究実施計画は以下の通りであり、1は現在も実行中。2と3はほぼ完了し、今回の報告書に記載した。1.ODと一般小児について、新規購入したMemCalcを、研究装備に導入、連続血圧心拍の揺らぎをパワースペクトル解析し、自律神経機能を評価2.新しいサブタイプ、Hyper-response type、6.Orthostatic cerebral hypoperfusionの症例集積を行い、OD群においてどの程度の割合に存在するのか頻度調査3.OD群は500例、新しいサブタイプは10例ずつを解析目標にして、循環動態、脳血流との関係を明らかにする。
1. 24年度は、サブタイプ6種類の臨床的特徴を明らかにすること、非薬物療法、薬物療法の効果を検討することである。とくにhead-up tiltによる治療効果、薬物療法についての効果について研究し、自律神経機能に与える影響、臨床症状に与える影響を検討する。2. 研究対象目標数は、30例である。3. 上記の結果より、効果的な治療法を提唱する。4. 最終年度であり、報告書の作成を行う。
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日本小児心身医学会雑誌
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10.1111/j.1442-200X.2011.03543.x.[Epub ahead of print]
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