研究課題
小児特発性ネフローゼ症候群は比較的頻度の高い腎疾患だが、本症における疾患活動性の評価、再発、寛解、薬剤反応性の予測等を可能とするバイオマーカーはこれまで発見されていない。本研究は本症の新規バイオマーカーの確立とともに病態の解明を目的とする。昨年度は、小児特発性ネフローゼ症候群の初発時と寛解時において、12名の患者のTおよびBリンパ球上での各種共刺激分子(CD40,CD40ligand(CD40L),D28、CD80/CD86、CTLA-4、CD69、CD26等)の発現を調べた。その結果、Tリンパ球上のCD40LとBリンパ球上のCD40分子が最も疾患活動性に相関することを確認した。治療開始前の初発時おいては、CD4陽性Tリンパ球上のCD40Lの発現率は34.4%であったが、ステロイド薬使用下の寛解時は13.3%に有意に減少した(P<0.05)。またコントロール群ではその発現率は6.4%であり前二者と比較して有意に低値であった(P<0.05)。一方、CD40Lの受容体であるCD40については、治療開始前の初発時おいては、CD19陽性B細胞状上のCD40の発現率は93.9%であったが、ステロイド薬使用下の寛解時は79.0%に有意に減少した(P<0.05)。またコントロール群ではその発現率は38.2%であり前二者と比較して有意に低値であった(P<0.001)。これらの事実はCD40LおよびCD40が本症の疾患活動性を反映するのみでなく、それらを標的とした新規治療法の開発につながることを示唆している。さらに、T、Bリンパ球間の共刺激に必要な血清中の可溶性CD30の量も疾患活動性に相関がある可能性が示唆された。本年度は今回の12名の患者について、その後の臨床経過を追跡調査し、これらのマーカーが頻回再発やステロイド依存性などの難治化・重症化を予測しうる指標となるかを検討する。また、Bリンパ球におけるCD40の下流のシグナルの活性化を、Western blot、フローサイトメトリー、RT-PCRなどにより検討し、本症におけるB細胞の活性化の機序について解明する。可溶性CD30についても、疾患活動性に関連したバイオマーカーとしての有用性を検証する。
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