本年度は、我々が独自に開発し改良を量ねて確立したPVLラット動物モデルを用いて、ヒト新生児では後潮早崖児のみに適応となっている脳低温療法について、PVLの好発時期である妊娠32週未満での応用への可能性を検討し、早期早産新生児ではその未熟性のために適応外となっている脳低温療法の代替治療法として脳低温療法と同等の効果を発現する薬物を発見するために、その基礎実験として、PVL発症の責任病態であるpre-myelinating oligodendroytes(Pre-OLs)の細胞死の仕組みについてin vitroならびにin vivoで検討した。 その結果、このラットPVLモデルでは、低酸素負荷中に低温にすることによりPVLのダメージを優位に改善することができること、さらにPre-OLsの髄鞘化能が維持されていることを明らかとした(論文準備中)。 さらに、in vitroオリゴデンドロサイト初代培養系では、低温療法は低酸素無糖負荷によるapoptosisを抑制すること、そのメカニズムにはERKリン酸化が関与している可能性があることを明らかとした(論文準備中)。また、この作用発現にはMBPの特殊なisoformが関与していることを突き止めた(投稿準備中)。 次に、低酸素虚血性脳症におけるmicrogilaの関与の可能性について検討し、本動物モデルでは、microgliaが活性化され、各種炎症性サイトカインが有意に高濃度で分泌されていることを明らかとした(未発表データ)。
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