研究概要 |
ヒト器官形成期に発生する先天異常の解明のために、京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターが保持している器官形成期のヒト胚子を用いて撮像したMR断層画像 1200例を材料とし、ソフトウエアOsiriX, AMIRA, FSLview等を利用して、データの加工、解析を進めた。三次元胚子像のコンピューター上での作製、対象症例についての外表写真の撮影(4方向)を行った。外表、内部観察を行い形態の計測を施行し個体差を定量化した。異常な計測値をもとに肝臓の形成異常の個体を抽出し解析を進めた。主要器官として、肝臓、脳神経管、脳室、胃を選択しての発生段階の定量、可視化を行った。肝臓の正常発生及び周辺器官との関係を詳細に表すことができた。脳室では、幾何学的図形への近似を行い、形態学的な変化を抽象化した。脳実質の立体化を行い神経核の発生を定量化した。より詳細な情報が必要な個体、特に内部臓器に異常がある可能性のある個体については、位相CTを用いた撮像、得られた画像の解析を開始した。また、解剖学的位置が立体座標で示せるというMRdataの特性を生かし、発生時の主要器官の形態形成と造形運動の数値化を試みた。内耳、外耳の動き、胃、中腸の伸長、回転についてその動きを解析した。これらのデータは、ヒトの発生に新たな知見を加え、その理解につながるとともに、妊娠初期の胎児診断における重要な基礎的データに結びつくと考えられる。
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