研究課題/領域番号 |
22591201
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
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研究分担者 |
上野 正樹 香川大学, 医学部, 准教授 (30322267)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
安田 真之 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00380155)
岩瀬 孝志 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (30284368)
西田 智子 香川大学, 教育学部, 教授 (00243759)
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キーワード | 低酸素性虚血性脳症 / 脳波 / 脳血液量 / 動物モデル / 虚血再還流 / 新生仔豚 / 近赤外光 / 活性酸素スカベンジャー |
研究概要 |
【背景】新生児低酸素虚血性脳症(HIE)における、遅発性脳エネルギー障害には活性酸素が関与している。エダラボン(ラジカット)は本邦で開発された活性酸素スカベンジャーで、成人の脳梗塞急性期の治療薬として使用され、HIEの治療の可能性が期待される。しかしその臨床的使用の前には、基礎的な検討が必要である。【目的】長期生存可能な新生仔HIEモデルを用いて、ラジカットの蘇生後早期の脳循環に対する効果を検討する。【方法】生後1日以内の新生仔豚を用い、無治療群(7例)とラジカット投与群(6例)を比較検討した。HIE負荷はaEEG振幅値が5μV以下(LAEEG)までFiO_2を下げ(20分間)、その後に血圧を負荷前値の70%以下として脳血液量(CBV)が負荷前値を下回る前に蘇生した。蘇生後6時間までCBVとaEEGを同時計測した後に抜管し、5日目に組織評価した。ラジカットは3mg/kgを蘇生直後から負荷後12時間毎に負荷後60時間まで計6回投与した。そして負荷後6時間までのaEEG、CBVと脳内Hb酸素飽和度(ScO_2)を検討した。【結果及び考察】負荷後LAEEG持続時間とScO_2は、両群で差はなかった。負荷後CBVは、CBV群とラジカット群ではともに蘇生直前値に比して負荷後3,6時間では低下した。しかしラジカット群ではCBV群と比較し、その低下の程度は小さかった。その理由として、活性酸素の消去により、神経細胞や血管障害が軽減し、脳浮腫や脳循環不全が軽減されたと考えられた。さらに本研究での行動評価や組織評価を現在行っている。また今後は、臨床的に実施されている低体温療法と、本治療を組み合わせた効果の検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、低酸素虚血性脳症に対して活性酸素スカベンジャー投与での効果を検討しているが、新生仔豚を用いて負荷後5日間の飼育が必要な研究のため、想定していたよりかなり手間と時間がかっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、低酸素虚血性脳症に対して低体温療法と活性酸素スカベンジャー投与での効果を検討する予定としている。しかし新生仔豚を用いて負荷後5日間の飼育が必要な研究のため、低体温療法の導入、離脱方法の確立にかなり手間と時間がかかると考えられる。このため水素投与での検討が研究期間内に出来ない可能性があるが、低体温療法や活性酸素スカベンジャー投与での脳循環・代謝の計測は行っているため、活性酸素減少を目的とした治療戦略の一部は解明可能である。
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