研究課題/領域番号 |
22591203
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
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研究分担者 |
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 助教 (50451430)
横山 俊史 神戸大学, 農学研究科, 助教 (10380156)
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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キーワード | 周生期ストレス / 脳 / セロトニン / 神経栄養因子 / 神経栄養因子受容体 / 脂肪細胞 / UCP-1 / 代謝 |
研究概要 |
1.母仔分離ストレス曝露モデル動物の脳の変化-特にセロトニン作動性神経細胞の動態変化- 採取した脳のうち、縫線核、海馬、大脳皮質、扁桃体におけるセロトニン5-HTとその中間代謝産物5-HIAAをHPLCで解析した。その結果実際に母仔分離が進行している期間においては、5-HTの代謝効率が低下している結果を得た。同様にノルエピネフリンNEとその代謝産物MHPGに関しても分離期間においてのみ、代謝効率が低下しているエビデンスを得た。 2.セロトニンと相互作用を有する生理活性物質の解析 昨年度は、NeurotrophihのうちBDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor)とその受容体TrkBのReal-time RT-PCR解析を行った。母仔分離期間中の海馬おいては、リガンドのBDNFは一時的に減少するが、その後コントロールレベルまで回復する結果を得た。受蓉体TrkBには、母仔分離期間中に有意な変動は認めなかった。これを基に本年度はグルココルチコイド受容体GRとearly growth response protein 1 EGR-1の解析を行った。これらは、セロトニンによってregulateされているとされている分子である。母仔分離の結果として、セロトニン代謝効率の低下に同期して、これら因子の発現量も低下する結果を得た。 3.脂肪細胞におけるuncoupling rotein-1 UCP-1解析 母仔分離された動物におけるUCP-1の発現量は、30日齢において増加していた。これは将来の脂肪細胞の増殖を示唆する結果である。 神経発達に影響をもたらすこれらの重要な因子の発現量の変化が、脳発達障害の一因であることが推測できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象領域として、脳と脂肪細胞に焦点を当てている。脳に関しては、順調に解析が進行しているが、脂肪細胞に含まれるタンパク質の抽出に時間を要した。この点にうおいて、やや遅れ気味であったが、年間の研究進捗度は、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
上記(11.現在までの達成度)に記したが、脂肪細胞の解析は充分な配慮が必要であることが前年度の研究で判明した。他の組織に比して脂肪細胞には、元来タンパク質が極端に少ないことから特殊なテクニックを要したり、特別に研究用キットが必要である。これらの問題は前年度に解決したため、当初の計画に則って研究を遂行する予定である。
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