集中治療を必要とする未熟児新生児における循環管理の適切な指標はない。我々はレーザードップラー血流計による皮膚血流量の測定により、循環動態を非侵襲的に評価できるモニターの開発を進めた。 【方法】当院NICU入院中の児の下腿脛骨前面にΦ10mmのプローブを貼付し、同部位の皮膚血流をレーザードップラー血流計を用いて児の安静睡眠時に20分間以上samplingした。sampling rateは1000Hzとした。血管抵抗を推測するために、各症例について血流波形の勾配の最大値(以下Slope値とする)を波形解析ソフトを用いて算出した。 【結果】まずGCUでバイタルサインの安定した(体温・血圧安定、酸素不要、血液ガスデータ正常)児13例(コントロール群;平均体重:2268g(1560g-2964g)、平均修正週数:37.8週)の皮膚血流を測定した。コントロール群のSlope値は1.71±0.61(V/s)だった。 次に在胎25週6日、927gで出生の超低出生体重児について動脈管開存症の経過(日齢25にクリッピング術実施)に関連させてデータを4回採取した。Slope値は日齢17:2.0±0.2、日齢20:3.7±0.6、日齢24(手術前日):4.6±0.6、日齢26(手術翌日):1.4±0.3であった。 【結論】動脈管開存症例のSlope値は経時的に上昇していき、手術前日にはコントロール群平均値の2.7倍に上昇していたが、手術翌日にはコントロール群と同等の低値に下がった。症候性動脈管開存症による下肢循環不全のための毛細血管抵抗上昇がレーザードップラー皮膚血流計によって可視化された可能性が示唆された。心エコーでは評価できない末梢循環の数値化は新生児医療に大きく寄与する。
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