研究概要 |
【研究実績の概要】平成22年7月から本研究対象者のエントリーを開始し、平成25年3月31日までに58名のエントリーが得られた。そのうち修正40週に達しているものが58名(うちFat-scan施行は53名)、現在のところ修正6カ月に達しているものは41名、修正12カ月に達しているものは25名である。 【主な結果】・早産児では臍帯血中の総アディポネクチン(T-Ad),、高分子型アディポネクチン(HMW-Ad)およびHMW-AdのT-Adに対する割合(HMW%)が正期産児より有意に低いが、修正40週時点ではT-Adは正期産児より高く、HMW%は正期産児より有意に低かった。 ・早産児において予定日までの発育はT-AdおよびHMW-Ad増加に寄与しており、実際予定日にFat-scanで評価した皮下脂肪面積はT-AdおよびHMW-Adレベルと有意な正の相関を示した。一方、HMW%の予定日までの変化はこの時期の体重増加とは無関係に、出生時のHMW%と強い負の相関を示しており、子宮内ですでにある程度決定されている可能性が示唆された。・早産児においても修正6カ月の各アディポネクチン分画の血清レベルは予定日と同等の値が維持されていた。予定日に認められた早産児と正期産児におけるアディポネクチン分画の違いも修正6カ月まで継承されていた。・早産児においても正期産児と同様に修正12カ月には、T-AdおよびHMW-Adの有意な低下が認められた。修正6カ月まで認められたT-AdおよびHMW%の有意差はこの時期には消失したが、低分子型は有意に正期産児より高いままだった。 以上の結果から、予定日までの早産児の脂肪組織の発達はアディポネクチン増加に寄与しているが、少なくとも生後早期の脂肪組織の発達の質は正期産児とは異なると考えられ、これが将来の生活習慣病リスクと関連している可能性が示唆された。
|