研究課題/領域番号 |
22591209
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
細野 茂春 日本大学, 医学部, 准教授 (50339339)
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研究分担者 |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
山本 樹生 日本大学, 医学部, 教授 (40167721)
渕上 達夫 日本大学, 医学部, 准教授 (60201753)
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キーワード | 幹細胞移植 / 胎盤血輸血 / 新生児仮死 / 超早産児 / 先天性水頭症 |
研究概要 |
1.臍帯血採取・分離・保存に関する基礎的検討 i)超早産児における臍帯血採取量に関して 臍帯血バンクでの採取方法に準じた場合,超早産児では胎盤重量が小さく臍帯血管が細いため十分な量の臍帯血は採取ができず、そのため30cmの臍帯血管内に残存している臍帯血液量に関して検討した。全臍帯長の平均は41cmで30cmの臍帯血管内に残存した臍帯血量は17.7ml/kgであった。正期産児の臍帯血採取量の中央値は60mlで出生体重を3.1kgとすると臍帯血採取量は19.4ml/kgである。膳帯血輸血により投与される幹細胞量は体重1kg当たりに臍帯血採取・分離・保存による幹細胞移植時の投与量とほぼ等しいと考えられた。 ii)在胎29週以上の児に関して late preterm児(妊娠34週以上37週未満での出生)に関しては2012年度に継続して検討を行う 2.実施計画書の臨床研究審査委員会の承認と対象患者の応募 2011年度に学内においての臨床研究審査委員会の承認が得られた。2011年度の1年間の当院での正期産児での5分値でのApgarスコア3点以下の重症仮死児の発生は見られなかった。胎児水頭症に関して患者発生はなかった。 3.1000g未満の超低出生体重での幹細胞に富んだ胎盤血輸血の効果についての検討 先行研究で行った在胎29週未満で出生した児における胎盤血輸血を行った児の神経学的予後に関して1歳半,3歳の結果について検討した。臨床診断および発達検査、聴力検査、眼科的検査の結果、脳性麻痺,発達障害、聴力障害、視力障害、てんかんの頻度はコントロールえられた。超早産児の胎盤血輸血に関しての安全性には問題ないと考えられた。これはサンプルサイズが少ないことに起因する可能背があるので現在行われている多施設共同研究の解析結果を待つ必要があると考えられた。超早産児の胎盤血輸血に関しての安全性には問題ないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
周産期医療の進歩によって本研究対象となる5分後Apgarスコア3点以下の症例は昨年度当院で出生した成熟児は約500例で発生はなかった。また胎児診断された先天性水頭症の分娩もなく当院に収容された重症仮死は院外出生の1例のみで対象事例が発生しない可能性がある。また臍帯血貯血・分離・保存は人手の関係で平日日勤帯に限られるのが現状である。1000g未満の超低出生体重での幹細胞に富んだ胎盤血輸血の効果についての検討については目標症例数の見直しを行い本年度中に目標症例数達成次第症例登録を修了して短期予後に関して検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
成熟児の発生頻度は研究計画段階より少なく周産期に従事する人員の減少により貯血・分離・保存が行える時間帯に大きな制約が出てきている。よ一方、臍帯血を貯血し幹細胞を分離保存することなく臍帯血を出生時に胎盤・臍帯・児の閉鎖回路で幹細胞が豊富な臍帯血を輸血することにより出生時の低酸素虚血や炎症性サイトカインによる脳細胞の損傷に対して幹細胞から分泌される種々の栄養因子による脳神経保護作用と幹細胞自身が神経細胞およびグリア細胞に分化し損傷部位の修復を行う可能性があることが報告されている。非分離による幹細胞が豊富な胎盤血輸血を行った早産児の神経学的後障害の発生頻度についての研究を並列して推進していく。
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